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七草にちかを読み解く月ノ美兎を読み解く

先日、ついに来てしまった。これが。

委員長が23人目である風野灯織のプロデュース配信をし「最終回」と銘打ったのが昨年の7月。つまりシャニマスアイドルのプロデュース配信は実に8ヶ月ぶりとなる。
しかも、今回はあの七草にちかだ。

ということでこのnoteは、その実況を解説しつつ、委員長の視点でにちかを読み解いてみる試みである。

以下、にちかの全コミュおよび委員長のにちか実況について遠慮なくネタバレをしているので、見たくない方はここでブラウザバックを。

にちかのWINGコミュの解釈

ということで、いきなり本題から入ってしまう。

僕も一応、配信前ににちかを自分でプロデュースした。そして死んだ。プロデュースの最中に辛くて泣いてしまった。
間違いなく良いストーリーだとは思ったが、反面これをアイマスでやっていいのか、という思いも強く残った。最初の出会いから不穏だし、そこからにちかが希望を見出していくわけでも、成長していくわけでもない。むしろ勝ち進めば勝ち進むほど辛くなっていって、WINGに優勝したところでカタルシスがほとんど得られない展開は、過去のアイドル達へのアンチテーゼにも思えた。

委員長は言わずとしれたアイマス古参Pであり、そのへんをどう受け止めるのか、非常に興味があった。

で、やはりというか何というか、プロデュースが始まってみると、最初の出会いコミュで委員長は若干ズレた反応をしている。作中のプロデューサーが、今までの23人のアイドル全員にそうだったように、というか過去のアイマスシリーズのアイドル全てにそうだったように、初めて会うアイドルにティンときて、アイドルの素質を見出す場面だ、という思い込みで解釈しようとしているのだ。

だから、Pのネガティブなモノローグに対してにちかを擁護するような言葉を並べてしまう。

(見よう見まねで……自己流で、平凡で)
「まぁ、レッスン受けてなかったらそうじゃないですか?」
(26:23〜)
「でもさ、あのノクチルの小糸を面接で受からせたんだから(笑)」(27:20〜)
(思いきりがいいことの他にはとにかく平凡な……女の子だった)
「技量的な意味なのかな?まぁこれからですよ」
(30:52〜)

しかし、続くシーズン1でのプロデュースイベント『grab your chance!』で、プロデューサーが言い放った「最初は、こんなものなのだろうか」(42:58〜)という言葉に驚き戸惑っている。やっと、「Pはにちかにティンと来ていない」ことに気づくのだ。

「後悔してる?もしかして。プロデューサー」
(43:06〜)
「プロデューサー、にちかに自信がないのかな」
(46:01〜)

でも、このときはまだ、希望は捨てていなかった。

「いやまぁでも、さすがにWING優勝したらどうにかなってくれると信じてる」
(47:09〜)

しかし……まぁ、ここいらからWINGまでは他のプロデューサーと同じ道をたどる。ひたすらコミュが悲痛で重くなり、シーズン4突破時のコミュでは思わず叫んでしまっている。

「えっ、ちょっ、何か言ってよ!何か……言ってよ……」
(2:15:38〜)

そしてWINGで優勝し、それによって、やはり『きよしこの夜 プレゼン・フォー・ユー!』や『明るい部屋』で語られていた、天井社長が昔プロデュースし潰してしまった元アイドルが、にちかの憧れる八雲なみだと知ってしまう。
しかも、八雲なみが持っていたカリスマ性はあくまで天井の演出によるもの、つまり「作られたカリスマ」だったとわかってしまうのだ。

「まんまとそれをにちかは……いやぁそれもにちかの凡さの裏付けみたいになっててキツイねぇ……」
(2:35:11〜)

ここまでは恐らく僕と、というか他のプロデューサー諸氏と変わらない感想を持っていたように思う。
しかし、優勝コミュの最後の最後のところで委員長が変わった反応を見せた。
にちかが、好きだった、いつも元気づけられるから聴いていると言っていた八雲なみの歌について

ほ、ほんとは……ちょっと思ってたんです……この曲……なんていうか、悲しいなって――

と語ったところで、委員長がこういう反応をする。

すごい、気がついてる。いやすごいな」
(2:37:51〜)

続いて、にちかの

でも、悲しいから……好きだったのかも……しれなくって……

というセリフに、こんな反応をする。

「それだったら真の意味で寄り添ってるよね、八雲なみに」
(2:38:05〜)

ここで、委員長の中ではにちかに対する印象がそれまでと180度変わったのだ。
そして全プロデュースが終了した直後の感想が、これ。

「にちか、でも、わかってくれてるわ。もっとヤバい鬱エンドを覚悟してたから。にちか、長い序章だったね」
(2:39:54〜)

配信の最後の方でもこんな風に語っている。

「もっともっとヤバい終わり方になると思ってた。(八雲なみの)コピーをしたまま勝ってしまったから、逆に自分を肯定できなくなってしまうんじゃないかってかなり不安視してた」
「にちかが、八雲さんは本当に自分の見ていた八雲さんだったのかっていうのに疑問を持つのがWINGより早い段階だったのが本当に救いだった
「なんだろ。バッドエンドではなく、長めの序章って感じで。でもすごく良かった。WINGが1つの序章に収まっていくの、わたくしは嬉しいですね」
(2:44:16〜)

よく、にちかコミュは「地獄」だの「優勝させてよかったのか?」だの言われてしまっている。配信前にTwitterをパブサしてたら
「月ノ美兎に「楽しみです」とかリプしてるエアプばっかりで萎えた。ちゃんとやったやつは警告しかしねえよ」
なんてめちゃくちゃ極端なことを言ってる人も見かけたけども、まぁ自分も程度の違いはあるにせよ、同じ穴のムジナではあった。最初から終わりの直前までがあまりに悲痛すぎて、委員長のように、最後の最後に救いを見出すようなことはなかった。

委員長がにちかのWINGを「長い序章」と捉え、にちかの気づきを救いと捉えたのは、単純なその言葉の解釈以外にも理由が恐らくあるんだろう。それは序盤、サポートコミュに摩美々が登場したところでこんなことを不意に語っているところからわかる。

摩美々のWINGってWINGの中でひとストーリー完結してた……くないですか?
WINGの中で摩美々が成長して、摩美々が何かを手に入れて、精神的にね。何かを手に入れて成長して、摩美々が涙を流して……っていう起承転結がWINGの中にあったけど、(後発のアイドルは)段々先を見据えるようになってきた感じありますよね。
ノクチルとか、WINGだけじゃ人間性がまだまだ見えなかったりとか、課題がたくさん残ってたりとかっていうのがあるわけじゃないですか。
だからまぁ、にちかさんもそういう覚悟はしておいた方がいいかもしれないですね
(36:08〜)

つまり、委員長の中では「にちかの物語はWINGで完結しないようになってるだろう」というメタ読みが序盤から働いていたのだろう。だからこそ「長い序章」という解釈が可能だったんだと思う。

そしてもう1つ付け加えるなら、委員長はまだ信じているんだと思う。「アイマスはプロデューサーが最後にアイドルを輝かせるゲーム」だという、古参Pならではの信念を。
だから絶対、今後の感謝祭やGRAD、あるいは更に追加されるステージかもしれないが、そのどこかでにちかを輝かせハッピーエンドにできると信じているんだろう。

演出面について

配信中に委員長が何度も言及しているのが、にちかコミュの演出である。
まず、Pがにちかの顔をまともに見ない。

「このずっと暗雲立ち込めてる感じ何?にちかはこんなに明るいのに。この演出は何なんだ」
「床見んなプロデューサー!」
(42:34〜)

そして、シーンの切り替えが完全なぶつ切りになっているなど、ホラゲやホラー映画で多用される演出が使われている。

「わたくしホラゲやってる?」
「何かホラゲの演出入ってません?大丈夫?」
(54:12〜)

委員長は自主制作映画を何本も撮っていて映像制作については玄人はだしであり、ディズニーランドに行ってもアトラクションの演出を詳細にメモして帰るような人なので、こういうところには人一倍めざとかったんだろう。
なので配信の最後の最後、こんな感想を漏らしている。

「にちかとプロデューサーのセリフだけ抜き出してコメディなBGMをずっとかけてたら「あ、ギャグなんだろうな」って見られるかもしれないけど、演出のせいもあるからね」
「演出の力も凄かった」
(2:49:00〜)

この解釈に則れば、にちかコミュを「地獄」と感じた我々は、見事に運営の手のひらの上で踊らされたことになる。

『きよしこの夜 プレゼン・フォー・ユー!』『明るい部屋』との関係性

にちかコミュに大きく関係しているイベントコミュ『きよしこの夜 プレゼン・フォー・ユー!』『明るい部屋』の2つについて、恐らく委員長は、普段の多忙ぶりからして読んでないだろうな、と僕は思っていた。

ところが実際はしっかり読んでいた。それも、にちかコミュを配信するにあたって予習した、というよりは、どうも配信外でも普段からこまめにシャニマスをやっていたっぽかった。
そして、単に「読んでた」どころではなく、細かいセリフや演出もしっかり記憶していて、今回の配信中、折りに触れて上記2ストーリーと関連しそうなところにしっかり反応していた。

まず、にちかの「靴に合わせなきゃだめなんです」というセリフに、天井社長がプロデュースしていたアイドルに靴をプレゼントしたが「私はこの靴には合わせられない」と言われたエピソードを想起させる、と述べている(1:44:47〜)。
更にはここで、アンデルセン童話『赤い靴』を思い出す、とも言っている(1:49:01〜)。(なお、委員長はここでアンデルセンを「あるでんせん」と言ってるが、まぁご愛嬌ということで……)

また、プロデュースイベント『may the music never end』で、平凡ながらやりすぎとも言える努力で上達したにちかに対し、プロデューサーが「こういう事を…やりたかったのか?」と言うセリフに委員長が激しく反応している 。(1:56:54〜)曰く、『明るい部屋』でのはづきさんのセリフと対比になっているのだ。
ここ、自分は全く気づいてなかった。


といったあたりで、やや散漫な書きぶりになってしまった。
個人的には、今後のにちかの成長には美琴が大きく影響してくるのでは、と勝手に踏んでいるのだけど、委員長によるその美琴のプロデュースも今度の木曜日 4/22 に予定されている。そちらも楽しみにしている。


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