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TATAMiS PROJECT ー動機編・後編ー

前編では、まとめますと
■畳の変遷から減少
■い草農家の減少
■国内でのモノづくり
といった経緯がありました。私たち畳製作者としては、モノづくりを行うことで情報を発信したい。それは「新しい畳の価値」という、かなり難しいことへの挑戦だと気付くのにそんなに時間はかかりませんでした。

価値をつくるには?試行錯誤

畳店の仕事は何をするのかと説明しますと
■畳の製造・販売
■住宅関係のご相談
というのが主です。福岡の徳田畳襖店さんは週末「ラッパー」をされたり、岐阜の山田一畳店さんでは「龍の畳」を制作されたりというのは、ごく稀な取り組みです。

地域の畳店さんが無理なく取り組め、いろいろな活用法や多様性が出る取り組みはないかと考えました。
そこで一つ考えたのが「炉畳」です。

炉畳とは、画像のように茶室などにある「炉」を隠す時に使う小さい畳です。畳店の方は大抵作った経験があり、小さいからといって畳ではないということもありません。
畳には、畳表そして畳縁があり、バリエーションは何千通りとあります。
製作する畳店の方の世界観が、その小さい畳で表現できれば楽しいのではないか、と考えました。
また、それは特別なことではなく畳店の仕事の中のことですので、格別大変ということではありません。容易でもありませんが(汗)

小さい畳をどうするのか

京都などの観光地を通りますと、畳店の軒先に小さい畳が置いてあります。
お土産にと、花台や小物を置くための畳ということで販売されています。
取り組みとしては、とても良いと思います。自社PRにもなり、いろいろな置き畳があると華やかになります。
しかし、その先を考えたときに、各々の畳店が同じことをされレッドオーシャン化した時に、価格の暴落が起きます。大げさに言うならば、大手販売店のダイソーなどが置き畳を売り出したならば、それはその時点で終わる市場です。
格安店と畳店の違いを出せれば良いのですが、見た目が似ている場合、消費者の方は特に関係のないことになり、安い方が良いといことになるでしょう。つまりは価値が低くなるということです。
ですので、小さい畳をそのまま販売(置き畳等)することは、リスクを伴うと思いました。

熊本県の立地

ここで熊本県の立地を考えました。熊本県は、福岡、大分県、宮崎県、鹿児島県に隣接している県です。その中で福岡県・大川市とは近距離にあり、電話やメールではなく直接会ってコミュニケーションを取れる距離にあります。
福岡県大川市は言わずと知れた「家具の街」
私たちは、畳の家具を作ることで価値を高められないかと考えました。
上の炉畳と合わせることにより、バリエーションは増え、何より熊本県のい草(畳)+福岡県・大川市の家具という行政区を跨いでのコラボレーションというのは、あまりしない取り組みです。
ようやくここで骨格が出来上がりました。

新しい「価値」を作るには

畳の家具を作ったからといって価値がすぐ生まれるわけではないと思っています。
有名な話で広島のマルニ木工さんのアームチェア「HIROSHIMA」
発売当初(2008年)はあまり売れず、大変な状況だったといいます。
しかし、妥協をせずデザイナーの深澤直人さんを信じやり続け、2017年にアップル社が数千脚の受注を行い、価値を作り上げました。

上記は特に稀な例かもしれませんが、「やり続けること」というのは大切なことだと思います。一過性のブームとは違い、価値を作り上げるということは、やり続けるということに他なりません。そのためには、無理のない取り組みであるということが私たちには大前提になります。
以上のことを考え、私たちは「畳の家具」という分野に挑戦する運びとなりました。
私たちは利益のためではなく、畳という日本古来からあるプロダクトを多様性のある現代にアップデートし、畳に関わる生産者の方々と協働しながら文化を活性化したいと願っています。

ただいまクラウドファンディング挑戦中です!
よろしくお願いします。


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