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いわき駅前のまちづくりについて。

福島県いわき市で、色々やってる地域づくり団体タタキアゲジャパンの公式noteです。初回は、理事の一人の松本が書かせていただきます。

私の関心ごとは、学生時代からずっと変わらず、まちづくりです。まちづくりと言っても、何でもまちづくりと呼ばれてしまう昨今ですので、もう少し深掘りすると、、

私は、経済活動や、人の心理、行動、政治や行政の在り方など、都市を形作るソフトとしての原理や仕組みにアプローチすることで、ハードとしての都市空間を変革していきたいと思っています。そして、都市空間が豊かになることで、さらにソフトとしての人の意識やコミュニティや仕組みが発展していく。そうして、また発展したソフトがさらに都市空間を豊かにしていく。いい場所の周りには、また次のいい場所が生まれる流れができる。そういう、都市空間を変えていく正の循環を生み出す活動を「まちづくり」と言っています。なので、目的もなく行われる賑やかしやイベントは、私の定義では、まちづくりではありません。

さて、前置きが長くなりましたが、初回は、「なぜ、いわき駅前の空き店舗は埋まらないのか?」という内容で書いてみたいと思います。

このテーマにしようと思ったきっかけは、理事メンバーとの定例会議で出た、こんな会話からです。

「駅前の空き店舗が埋まらないらしい。どうにかして新規テナントを誘致する仕組みができないか。」という話題でした。

このときに私が返した意見は、

「そもそも、空き店舗は、需要と供給のバランスで生まれている。空き店舗が埋まらないのは、単純に、その場所で、その家賃で、その広さで商売をしたい人がいないから。しかも床をどんどん増やすので、さらに供給過剰の状態になっている。誘致の仕組み云々では解決しない。」
のようなものでした。

このときの話を深堀りして書いていきたいと思います。

背景を少し補足すると、空き店舗に困っているという建物は、比較的新しいものだったり、今つくっているものでテナント募集中のものです。
テナントを募集しておらず何らかの事情で貸すことができない、貸すつもりのないものは、また別の話になるのでまた別の機会にまとめたいと思います。
さて、募集してもテナントが来ない空き店舗は、家賃の坪単価(1坪あたりの家賃)が、そもそも高いことが多いです。建物側は、期待する家賃もあるし投資回収もあるので、無闇に家賃は下げたくない。または、昔は坪一万円だったという理由で地域にその魅力がなくなっているのに高止まりしていることもしばしばです。

別に、出店希望者はいないわけではないんです。寂れているとはいえ、人口30万都市の中心部ですから、商売ができないことはない。チャレンジしたいという人はいる。でも、そういう人には広すぎるたり、面積に比例した家賃も高すぎる。また、建物側としては、安定して家賃払ってくれるテナントの方がいいですから、そういう不安定な感じがする地元の人のチャレンジみたいな話にはあまり貸したくない。

なので、大手チェーンに入ってもらえたら、高い家賃も払ってもらえるし、集客もできそうだし、賑わってる感も出て他のテナントにも波及効果も期待できるから、大手チェーンのカフェとかに入ってもらいたい、なんて都合のいい話もよく聞きます笑。でも、大手チェーンこそ、しっかり市場調査をしますから、ほとんどお金を落とさない高校生ばかりしか乗降客のいない駅の駅前には出店はしてくれない。家賃タダでも出店してもらえないとの話も聞いたことがあるくらいです。テナントで入ったら、家賃以外にも人件費やらなんやら経費がずっとかかりますからね。つまり儲かる見込みがないならやらない、それだけなんです。本当は、多様な潜在ニーズもあるでしょうが、地元じゃないチェーン店には、地元ならではの話は分からないわけです。

なので、結局、建物側の思惑に見合う都合のよいテナントが見つからないので、結果として、ずっと空き店舗のままになっている。ということです。

さて、ここで考えられる解決策は、「今の需要に合わせる」か、「需要自体を増やす」のどちらかです。

「今の需要に合わせる」とは、家賃を下げるか、家賃を下げたくないなら、借りやすいように面積を小さくしたり時間でシェアしたりをして、テナントの家賃負担を減らしてあげること。チェーン店では分からないニーズを把握している地域の人の小さいお店をやってみたいという需要に合わせること。これは安定したテナントに貸したいという高すぎる理想を捨てないとできないでしょう。また、この需要には、人通りの少ない路地裏の古いビルなどが安価な家賃とともに一定数応えてはいますが、路地裏よりも少しは人がいるところでやりたいという需要も一定数あると思います。

後者の「需要自体を増やす」とは、場所やエリアの魅力を上げ、そもそもまちに人がたくさん訪れるようにすること。人が来る場所には、自然と商業者は集まります。儲かることが分かるなら、高い家賃だって払えるわけです。

少し逸れますが、無闇に新しいビルを単体で建てることは、単純に供給を増やすので、あまり良い手ではないと思います。もし再開発などで周辺エリアの状況も含めて変わることができれば、需要を喚起できる可能性はありますが、開発が終わってみないと実際に人が来るのかどうかは分からないので、あまり人の歩いていない地方都市の駅前で、未完成の状態で高い家賃まで払ってくれるテナントを見つけるのはなかなか難しい。

また、「今の需要に合わせること」は、ビル単体でできることなので1人の経営者の判断で可能ですが、「需要自体を増やすこと」は、エリアの価値を上げるという話なので、ビル単体ではなかなか難しく、多くの人との協働や調整が必要な話です。なので圧倒的に後者は面倒なので、これまであまり進んできませんでした。

でも、需要自体を増やすことなしでは、この先ジリ貧になっていくことは目に見えているので、そろそろ真剣にやったらどうですか?という話です。

では、どうやったらエリアの魅力を上げて、商売をやりたいという需要を喚起できるのか。私が考える、いわき駅前に必要な打ち手は・・・と、長くなりましたので、次回に続きます。

続きはこちら。
https://note.com/tatakiagejapan/n/nf49bf8304414


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