上を向いて(100km)歩こう ~序章~
親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。大学校に居る時分、東京から群馬をめざして自転車で向かう道中でタイヤがパンクし残り40km余りを歩いて1週間程脚をぶっ壊した事はある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかもしれぬ。別段深い理由はない。
歩きたかったからだ。
大学に入ってからというもの歩くことが好きだったが、快楽物質の回路が狂っているカツヲはこの事件以降更に歩くことが好きになった。
そうしていつの日か、この100km離れた群馬の親友Mの家へ歩いて到達するチャレンジが始まった。
〈1回目〉
このチャレンジを行うにあたり、まずMにアポ取りをしなければならない。
とりあえず文化祭云々で自分が休みの期間で提案。
って思ってたけど普通に授業期間だったぽい?月曜が全部オンデマンド授業だったからこの日程を提案したのかもしれない。
1回目のチャレンジは自転車パンク事件から半年経った10月30日。
バレンタインデーに虚しく歩いた次はハロウィン。
その日に美容院へ行く予定があったカツヲは結局、
『17時に原宿から出発して翌日12時着を目指す』
という計画を立てた。
10月30日の暮れ方のことである
結局、物心ついた時からずっと通っている原宿の美容院で髪型を整え、美容師のHさんに「うちの息子の家庭教師やってよ!」というお誘いを受けたカツヲは、新たな挑戦に胸をワクワクさせながら17時に原宿を出発した。
この日の美容院ではその家庭教師の話ばかりしていたため、この後に整えた髪で100km歩くつもりのバカ野郎の相手をしていたなんて思ってなかったはずだ。
申し訳ないっす。
この世の終わりみたいな臭いのする原宿から出発し、ドブを煮つめたような臭いが漂う池袋を超える。
時折見える変態仮装行列に、もっと馬鹿なヤツがここにいるぜ、というナゾの自信で対抗する。
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結論を言ってしまうと、〈1回目〉という見出しからわかるように100kmという道のりは甘いものではなく、途中で断念した。
歩きながらメモを取っていたはずなのだが、何故か消えてしまっているためほとんど思い出せない。
そのため超ダイジェストで進む。
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とにかく東京を歩いている時は、オサレな人たちの中でこれから100km歩こうとしている自分のおかしさと、自分の体力に対する圧倒的自身の元で胸を張りまくって歩いていた。
そのため、Googleマップの予定到着時間を大きくまくってゴールしてやる、というやる気に満ち溢れていた。
なんだかえげつなく長い橋を渡り、いよいよサイタマに入った時にはイヤホンからandymoriの“ハッピーエンド”が流れていて、なんとも言えない虚しさに潰されそうになりながらまだまだ続く長い旅への覚悟を決めた。
それからはほぼほぼ覚えていないが、21:30頃、さいたまスーパーアリーナ付近でMと電話した時には、もう既に割と足に疲労が来はじめていた。
そんで多分その電話でMとの
迎えに行くよ?
いやまだいいよ
まだ足大丈夫?
う、うん。
迎えに行くよ?
あ、じゃあ、、、いやまだいいや
迎えに行くね
お願いします。
という押し問答があった。
22時の電話で行われた押し問答の末、Mが諸々の準備を終わらせて23時35分の電話で出発した。
押し問答の電話の後、安心感からか急に足の痛みが来て、23時35分の電話では誰もいない‘イオンモール上尾店’の前で縁石に腰かけていた。
それからなんとか気合いを入れ直してMとの合流まで歩いたが、もうこの旅を終われる、という喜びからそこそこ足が軽かった。
結局ニトリ桶川店まで歩き、なんとか過去最高距離の徒歩をギリギリ達成したところでMを待った。
そして現れた神さま(M)の車に乗り、1回目のチャレンジは終わりを迎えた。
足はまめまめしく、脚はバキバキだったのは言うまでもない。
2021年、ハロウィン。
ネオンが光る𝓣𝓸𝓴𝔂𝓸を胸を張って闊歩していた1人のドアホ大学生は、サイタマの闇の中で灰色のあぶくとなって消えた。
ドアホバカ大学生野郎の行方は誰も知らない。
翌日はMは日光に連れてってくれました。最高。
〈2回目〉
春休みに入ればやることはひとつ。
群馬のMの家まで歩く。
とりあえずアポ取り。
2回目は前回の反省を踏まえて、
・靴下を2枚履く
・Googleマップの予想時間と勝負しない
という心得のもと挑んだ。
とは言っても前回の経験から、
100kmは無理だ
と思ったため、今回は50km、次回は80km、その次にいよいよ100km歩くという計画を立てた。
非常にクレバーだ。アホなことしてる癖に。
結局60km地点の熊谷駅で拾ってもらう目標に。
朝8時10分に出発し、とてつもなく天気が良く最高に良い休日(?)って感じ。
時刻は11時。
2月28日とは言ってもまぁまぁ暑くもう春の匂い。
この時点で14kmぐらいでなんとも言えないペース。
ドン・キホーテでかむかむ青リンゴとチュロッキー買って、秒で消費した。
ずっと歩いていると口が寂しくなにか噛んでいたくなるのさ。
そんで道はずっと知っている(チャリでMの家に行く時に何度も通った)道でものすごく退屈していた。
ただ歩いているだけなため当たり前に特に面白いことなんて起きず、時刻は13:30。
出発して約5時間で28kmぐらい。まあまあなペース。
ビビるぐらい終末みたいなデイリーヤマザキで、おにぎりとシュークリームを買ってエネルギーチャージをした。
どうやら当時のメモによると
だそうで、ほぼ半分進んだためMに連絡。
結局上手く18時頃に合流できそうな場所を設定し、熊谷駅は諦め。
しかし、この時にはまだある程度余裕だった。
そんで14:30の電話の時にやけに電話の向こうが騒がしくて、かすかな疑問を抱いた記憶。
人っ子一人居ないはず(ごめんなさい)のグンマーの静けさでは無い。
当時のメモによると
だそうで、ここらで疲れが出始めていたそう。
あ、「タレカツがこんにちわ」ってのは、急にタレカツ屋がいっぱいでてきた、とか言う意味ではなく「‘疲れた’がこんにちわ」という意味です。
サンプリングは、オイラの推しのmaho(ExWHYZ)による1番好きなツイートです。。。。
16時30分になり、学生たちの帰宅時間。
サイタマの中学生はみんな白ヘルメットを被って自転車に乗ってました。
この時点で43km。
かなり疲労や足の痛みが現れていたものの、とりあえず前回の記録は突破。
されどカネコアヤノの“爛漫”がイヤホンから流れた瞬間、ゾーンに入った。
一気に疲労が吹き飛んだ。
18時10分、結局熊谷駅までは行けず、ゴールを決めてMの救護を待つ。
歩いている時はまだまだ限界ではなかったけれど、到着した瞬間疲労が来て、「もう無理だ」と思った。
‘MEGAドン・キホーテ東松山店’ 前のファミリーマートで待っているとMの救護車が。
その救護車には、Mの彼女のTちゃんが乗っていた。
!?
昨年の8月頃に付き合い始めて、まだ友達だったときからの話も色々聞いていた。
驚くべきことにMとTちゃんは誕生日が全く一緒で、話を聞けば聞くほどお似合いで仲良さそうだった。
そんなTちゃんにこの時にボロボロの姿で初めて会ったものの、普段からMからカツヲの気狂い話をある程度聞かせていたらしく、なんとかメンツを保つことが出来た(?)。
そんでどうやらこの2人はさっきまで富士急ハイランドに行っていたらしく、電話した時のグンマーらしからぬ騒がしさの意味に納得。
2月28日までのクーポンの存在に前日に気づき、咄嗟にデートの目的地を富士急に変えたらしい。トンデモバイタリティー。
親友のカップル+気狂いドアホバカ激キショ理系陰キャオタク大学生の3人によるイミフドライブの末、Tちゃんを家に送ったMは激うま唐揚げ屋に連れてってくれた。
翌日は、Mは車でワカサギ釣りに連れてってくれて、シンプルに楽しすぎる休日を過ごしたのだった。
そんなこんなで2回目のチャレンジは幕を閉じた。
3回目のチャレンジはガチで100km歩きます。というか今日(2022/11/02)にチャレンジします。
授業終わりの15時から。
待ってろよグンマー。頑張れオレの足。
p.s:
完結編、書きました!
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