風の気配
昨日今日、風が強かった。風の音であまり眠れなかった。
強風も大雨もいつかは終わる。けれど、晴れの日もいつでも続くわけではない。何事も終わりがくる。
終わりがくるから、どんなに苦しくても耐えられることがある。けれど、終わりがきてほしくなくて、胸が張り裂けそうになることもある。いや、終わりがあると分かってるから、胸が張り裂ける思いをするぐらいなら、初めからなければいいんだと決めつけて、始まりを拒絶することもある。むしろそんなことばかりかもしれない。私の死生観そのものだ。
強風の予報は出ていた。なのに、ベランダの物干し竿を下げていなかった。私はいつも風の音でこの事に気付く。ああ、また忘れていた。いつになったら、強風が来る前に物干し竿を下げられる日が来るだろうか。晴れの日が終わることを心配しながら、一方では晴れの日には胡座をかいて生きている。
おわり
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?