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EUの限界

ユーロ
EUの柱の1つは通貨の統合であり現在のユーロである。通貨を共通にすることにより、為替相場の影響を少なくしEU圏でスムーズな貿易ができ、また賃金の安い国の人が高い国へ出稼ぎに行き、そのお金を自分の国で使うことができるし、雇用主も人件費を抑えられ安く輸出することができる。このように輸出が促進され経済発展が期待されたのである。もちろん複数の国の共通通貨なので単独でお金の発行・引き締めができなくなる。これは不景気のときにお金を一杯刷って景気を刺激する等の経済政策がEUに所属している限り、単独でできないのである。一方EUの中心でありながら、イギリスはユーロから距離を置き、独自の通貨:ポンドを使用した。ユーロを使うと、EUトップクラスの経済国・ドイツの意向を汲まなければならなくなり、またイギリスの象徴であるポンドを捨てることができなかったと考えられる。

ギリシャ
ギリシャ政府は、国民からの支持を得るため財政の裏付けがない高福祉政策や公務員の過剰雇用等、杜撰な財政運営を行った。この赤字はドイツやフランスの大手銀行からお金を貸し付けてもらうことで賄っていた。しかし、2009年10月、ギリシャにおいて政権交代が行われ、ギリシャの借金が明るみにでると、各国の銀行はギリシャがデフォルト(お金を返すことができない状態)になるのではという恐れを抱き始めた。ギリシャがデフォルトを起こし破綻すると、当然お金を回収できない銀行の運営が悪くなり、EU全体で貸し渋りが起きる可能性が出てきて、EU全体の景気が悪くなる。それを恐れたEUはギリシャに莫大な支援を行い、何とかデフォルトは回避されたが、1国の経済損失がEU全体の連帯責任になってしまうという問題点が浮き彫りとなった。

イギリスのEU離脱
さらに、問題点として人口移動があげられる。上項であげた通り、EU内での出稼ぎは容易となったが、どうしても賃金が高いドイツ・フランス・イギリスに人口が集中する。ドイツ・フランスはこうした人口移動は寛容だがイギリスは国内の雇用が奪われる危機感を抱き、上記の問題点を合わせEU離脱論が浮上した。その結果、2016年6月23日の国民投票でイギリスのEU離脱が決まったのである。

おわりに
現在、世界は経済発展のためにグローバル化され一体化されている。EUはいわばその縮図である。グローバル化が進む限りEUで問題となっていることは我々にも降りかかってくるのである。現在でも他国の経済が大きく日本でも左右されるし、国内の雇用も賃金が安い国外へ流れている側面がある。このグローバル化の波にのまれないように、我々が個人でできるのはスキルや、できることを増やし世界と戦えるようにすることである。

参考資料
一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 経済編
山崎圭一 SB Cretive

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