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誘拐ものは、難易度が高いため外れも少ない

ゲームの名は誘拐 東野圭吾 光文社文庫

身代金目的の誘拐は戦後日本において、かなり成功率が低い。(身代金の受け渡しが成功したのは、なんと0%である)そのため、現代日本を舞台に身代金目的の誘拐ものをミステリー小説として描くとなると構想をよく吟味する必要がある。よって誘拐もののミステリー小説は自ずと水準が高くなる。
この「ゲームの名は誘拐」も高レベルなミステリー小説の一つであろう。

あらすじ
広告会社のエリート社員、佐久間はクライアントの副社長・葛城勝俊に大きなプロジェクトを潰された。突発的に葛城邸に向かった彼は、塀を乗り越え家出をした葛城の娘に出会い彼女に狂言誘拐を持ち掛ける。身代金は3億円。2人はプライドをかけた誘拐ゲームに挑む。

まず、この小説は犯人側の目線でしか書いていない。そのため捜査の手がどこまで主人公達に伸びているのが、わからないため非常にどきどきし物語に没頭させる。また、誘拐ものであるため絶えず動きがあるので飽きずに読むことができる。
登場人物の性格も結構人間臭く描かれているので、そこは好みがわかれるところである。

身代金の受け渡しをどのように行われるのか、そして「誘拐ゲーム」の結末がどうなるのか、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

ちなみに、藤木直人・仲間由紀恵主演で「g@me.」という題名で映画化されている。こちらは登場人物の性格がマイルドになっている。おおよその流れは一緒のため読書が面倒ならこちらをおすすめする。

あわせて読みたい本
大誘拐 天童真 創元推理文庫
いつのまにか、人質のおばあちゃんが誘拐の主導権を握る破天荒な誘拐劇である。かなりコミカルな作品でこちらも面白い。

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