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圧倒的な展開の勢いとテンポ

グレイヴディッガー 高野和明 講談社文庫
小説にも勢いというものがある。文の描写が次々と頭に入っていき、ページをめくることを止められず物語への没入感がすごいものが勢いがあるものである。
グレイヴディッガーは追走劇を通して、圧倒的なスピード感とテンポによりえげつない小説の勢いを生み出すことに成功している。

あらすじ
悪党であった八神は改心しようと骨髄バンクへ登録し、ドナーとなったが移植手術目前で連続猟奇殺人事件に巻き込まれてしまう。謎の組織と警察に身柄を追われる中、八神は白血病患者を救うため東京都の北の端から病院のある南の端へと逃走を開始する。

この作品は、逃走者・八神と追跡者・警察の視点を交互に描いている。八神のパートでは逃走劇で激しい動きを見せ、警察パートでは猟奇殺人事件を追うミステリー要素があり、この緩急つけた構成がスピード感とテンポの源であるのであろう。
謎解き要素は特に考えなくてもいい。この小説は勢いに身を任せた方が楽しめる小説である。

合わせて読みたい本
グラスホッパー 伊阪幸太郎 角川文庫
マリアビートル 同上
小説のスピード感とテンポを生み出すことに関して、伊阪幸太郎は天才的である。その中でも上記2作は特出している。



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