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作中作を余すことなく利用した、独自性の高い作品

探偵映画 我孫子武丸 講談社文庫

我孫子武丸は、「殺戮にいたる病」という傑作中の傑作を生みだしている。こちらを紹介しようかと思ったが、ネットで調べるとわかるが数多くの人が「殺戮にいたる病」を紹介している。おすすめするだけでなく、ネタバレまでしてしまっている。これだけ有名なものを紹介しても、しょうがないので我孫子武丸の隠れた名作「探偵映画」を紹介したい。

あらすじ
鬼才の映画監督・大柳登志蔵が「探偵映画」という映画の撮影中に失踪した。すでに完成直前であったが「探偵映画」の結末と犯人は監督にしかわからない。残されたスタッフと役者達は、映画を完成させるために撮影された映像から、結末と犯人を推理していく。

スタッフと役者達が「探偵映画」の結末と犯人を推理していく、ディスカッション形式なので多くの推理案が出される。1種の多重解決ものなので、飽きがこない。また、映画の犯人役というのは目立つ役なので役者が犯人になるため無理やりこじつけた推理等コミカルな部分も多いので楽しみながら読むことができる。
作中作(物語の中で、物語が展開される)を扱った作品は、数多くあるが映画を作中作で利用した推理小説はそうそうない独自性が高い作品である。こちらも「殺戮にいたる病」に負けないぐらい、インパクトが強いのでぜひ読んでもらいたい。

※「探偵映画」は1994年に文庫として発行と昔の作品のため、まず本屋では手に入らなかったが、2019年フェアで再販されたので現在は前よりは手に入れやすい状況である。

あわせて読みたい本
殺戮にいたる病 我孫子武丸 講談社文庫
上記の通り軽く調べるとネタバレされてしまう。まだ読んでないなら、この本のことを何も調べずに一気に読んで欲しい。

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