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静かな寝息。

もうすぐ1時になる。真夜中。

キッチンの蛍光灯だけが、住宅街の街頭のようにほの暗く周りを照らす。

スー。スー。

そばで寝ている娘が寝息を立てている。

私はそっと、娘のまぶたにかかった前髪に触れる。

かわいい。

寝息は安らかな子守唄のようだ。


ふと、思い出す。

娘がまだ赤ちゃんだった時、どうしてもかわいいと思えない時期があった。

望んでいた娘なのに。頭に響く泣き声。つらかった。

「母親失格」の4文字が頭を巡った。


これではいつか、、、このままではいつか、、、

悲しい親子のニュースが頭を駆け巡る。

そう本気で思うほど、感情が追い詰めていた。

けれど、私はその感情に必死に抗った。


「かわいい、かわいい。私の天使ちゃん」と呼びかけるようにした。

一日に何度も、何度も。

言葉は言霊。


いつのころからか、「かわいい」としか、思わない自分がいた。

今でも「天使ちゃん」と呼びかける事がある。

娘を観察していて ”甘えたいの” と電波が出ているのをキャッチした時、「私のかわいい天使ちゃん」とささやく。

すると、娘は満面の笑みを返してくれる。

私にとっては天使のほほえみ。

やっぱ、親ばか(笑)と思いつつ

また、今日も幸せな眠りにつける。

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