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電通Bチーム『仕事に「好き」を、混ぜていく。』

電通Bチームのことを知る人は、一度は「Bチームに入りたい」とか、Bチームのことをうらやましく思ったことがあるはずだ。私もその一人。

Bチームのことを最初に知ったのは、あのMOODMANが在籍している、という都市伝説のような噂を聞いたときだっただろうか?本書のなかにもあるように、フリーメイソンのような地下組織・覆面組織みたいな響きで捉えた記憶がある。

その後、縁があって、Bチームの鳥巣智行さん(平和担当)のお誘いで、本書でも出てくる「ポテンシャル採集会議」に何度か混ぜてもらったり、森口哲平さん(ルール担当)とルールのおもしろさについて議論させてもらったり、KORG時代に知り合った坂巻匡彦さん(プロダクトデザイン担当)のプロジェクトにアサインしてもらったりした。

Bチーム創設者の倉成英俊さん(コンセプト担当)とも知己を得て、「なるほど、この人からBチームが生まれた」のか、と妙に納得したのを憶えている。巻末のBチーム・メンバー表をみると、牛久保暖さん(テーマフリー担当)やリーマントラベラーの東松寛文さん(もちろん旅担当)もBチームだったのか、とか。古屋萌さん(イラスト/デザイン担当)もいて、鳥巣さんとらの餃子プロジェクト「トゥギョウザー」に混ぜてもらったのもBチーム案件だったのか?とか。

さて、世は「イノベーション」ブームや「ラボ」ブーム、そして働き方改革。好奇心ドリブンな仕事の仕方は花盛りで、「B面」とか「プランB」といったコンセプトもありふれてきた。そういう意味では、「本家本元」の本としては、出版が遅すぎたのでは?と思わなくもないまま、本書を読み始めたが、そうではなかった。

私が思う、本書の一番のウリは、Bチームの作り方、Bチーム運営のコツとヒミツが開陳された3章、4章。副業・兼業が徐々に一般化しているなかで、企業のなかで野放図に広がる個人活動をいかにマネジメントするか(しないのか)、個人活動の価値をいかに企業に結びつけていくのか、心ある企業は日々頭を悩ましているのではないだろうか?本書はこのような個人活動の価値を企業に還元するためのヒントに溢れている。

さいごに。Bチーム、「B面」という言葉には、やはり「A」の存在感の大きさを逆説的に感じさせる。タイトルも「好きを仕事にする」ではなく、「仕事に好きを混ぜていく」なんだなと。そこは履き違えない。本書を読んで、巷に溢れる(やや無責任とも受け取れる)「好きを仕事にする」とは異なる、彼らの静かなプロフェッショナル精神を感じたのは私だけだろうか?

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