補遺13: WIRED連載『新しい社会契約(あるいはそれに代わる何か)』第13回「「脳神経権」と内心という最後の秘境」(編集中…)
雑誌『WIRED』Vol.48(2023年3月16日発売)掲載の『新しい社会契約(あるいはそれに代わる何か)』第13回「「脳神経権」と内心という最後の秘境」の補遺です。
紙面の都合上、掲載できなかった脚注、参照文献等をここで扱わせていただきます。
注1)
ニューロテクノロジー、ニューロテック・ブレインテックの現在地については、以下の書籍を参照。
注2)
ニューロテックのガバナンスに関する国際的な議論については、国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター(CRDS)「ニューロテクノロジーの健全な社会実装に向けたELSI/RRI実践」を参照。
https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2022/WR/CRDS-FY2022-WR-06.pdf
注3)
脳神経倫理学者マルセロ・イェンカと法学者ロベルト・アドルノによる「脳神経権」の提唱については、Marcello Ienca & Roberto Andorno "Towards new human rights in the age of neuroscience and neurotechnology"を参照。
注4)
「Neuro-Rights」の訳語としては、小久保智淳「ニューロサイエンス:ブレイン・マシン・インターフェースの近未来と神経法学」(下記『Liberty 2.0』収録)および「『認知過程の自由』研究序説 : 神経科学と憲法学」法学政治学論究126号(2020年)による「神経権」、⽯⽥柊『脳神経関連権(neurorights): 近年の脳神経倫理の中⼼的論点を概 観する』による「脳神経関連権」等がすでにあるが、本稿では文脈に鑑み、「脳神経権」と訳すことにした。
https://elsi.osaka-u.ac.jp/system/wp-content/uploads/2022/01/ELSI_NOTE_15_2021_220114_2.pdf
注5)
「脳神経権(neuro-rights)」の概念を取り入れたチリ憲法改正については、以下を参照。
注6)
神経権は、認知的⾃由(cognitive liberty)、精神的プライバシー(mental privacy)、精神の不可侵(mental integrity)、⼼理的連続性(psychological continuity)、差別や不平等の問題等、複数の構成要素を有する権利として主張されている。
「認知の自由」については、法哲学者のニタ・ファラハニー(Nita Farahany)による積極的な情報発信が目立っている。
Prof Nita Farahany: ‘We need a new human right to cognitive liberty’ | Neuroscience | The Guardian https://www.theguardian.com/science/2023/mar/04/prof-nita-farahany-we-need-a-new-human-right-to-cognitive-liberty
TED "When technology can read minds, how will we protect our privacy?"
https://www.ted.com/talks/nita_farahany_when_technology_can_read_minds_how_will_we_protect_our_privacy?language=en
(付記)
ニタ・ファラハニー教授の新著
The Battle for Your Brain: Defending the Right to Think Freely in the Age of Neurotechnology
注7)
思想の自由と内心の自由の関係性については、渡辺康行『「内心の自由」の法理』を参照。
注8)
日本のように思想の自由をあえて明記している国が少ないという点については、日本では、明治憲法下において、治安維持法の運用にみられるように、特定の思想を反国家的なものとして弾圧するという、内心の自由そのものが侵害される歴史があったため、日本国憲法が思想の自由を特に保障した意義があったとされる。芦部信喜・高橋和之『憲法(第7版)』等。