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ネットと現実は違うということ

ここで、ひとつのケースとして私が知り得た情報、体験した内容を書き留めておくことにする。
私の病気はかなりのレアケースで、ほとんどの人の役には立たないかもしれない。でも、だからこそまとめてみる。
私が病気になって感じたこと。それは、何もかも違うじゃん!ということ。
それまでの生活の中で得た情報によりなんとなく自分の中で作り出されていた「闘病」のイメージとは、実情も抱く感情も何もかもが異なった。
だからまとめてみる。

私の脳腫瘍は膠芽腫だが、そこにPNETという別の悪性細胞が混じっている。
要は、2種類の悪性細胞が腫瘍の中に混在しているということである。
これはかなりのレアケースだそうで、脳腫瘍という病気の内の0.5%位らしい。
どんな確率だよ。どうした私。
ちなみに、このPNETは化学療法が膠芽腫よりも効きやすいらしい。なので治療成績も膠芽腫よりよいそうだ。
実は、この病理結果を聞いた時、セカンドオピニオンを受けるか本気で悩んだ。
というのも、グレード4にしては私自身が元気すぎて、にわかには信じ難かったからだ。しかもなんか別のまで混じっているという。
ただ、私が入院した病院は東京大学と密に連携をとっており、さらに病理検査は悪性脳腫瘍の治療に強いとされる杏林大学に出されていた。東京大学、杏林大学により病理検査がなされ、両大学の先生を交えて治療方法も検討されたということで、じゃあもうそのままお願いしますということになり、結局セカンドオピニオンは受けなかった。

ちなみにPNETとは悪性腫瘍のひとつだそうで、化学治療の成績は良いものの、髄液にのって播種する。膠芽腫は局所的にできるため転移することはないそうだが、PNETは転移する可能性があるそう。だめじゃん。
なので、化学治療を始める前に、頭部だけでなく脊髄のMRIも撮影した。
幸いなことに脊髄への転移はなく(造影されなかったということだが)、治療も膠芽腫の標準治療をそのまま行うことになった。

加えて、私の腫瘍は遺伝子変異のある型であった。手術や治療を通して私が知り得たこと、そして感じ考えたことを記すことにしました。膠芽腫には遺伝子変異の有る型とない型とがあるそう。低悪性度のものができ徐々に悪性度の高いものへと変異していった場合と、いきなり悪性度の高いものができた場合とでは、前者の方が化学治療の成績は良いらしい。
私は前者であった。

何よりも、できた場所がよかった。
私の腫瘍はまさに右側頭部にあった。大事な器官が周囲にないため、手術では全摘、放射線治療ではかなりの強さの放射線を局所的に当てられた。私の優位半球にあたる左側頭部に腫瘍があったならこうはいかない。

膠芽腫、グレード4という最悪の結果を引き当てた私だが、しかし、その他の考えられうる良い条件は全て引き当てた。
そう、全て引き当てた。ただの運だけで。
良いも悪いもすべて確率を引き当てただけの話。
前世のおこないなどなんの関係もなく、ただその数%の確率にあたっただけ。ただそれだけ。
だけども運だけで今ここに立っているというその事実が、私にはとてつもなく恐ろしい。


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