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[ 雑学 ]「トキワ」と言ったり「ジョウバン」と言ったりする『常盤』、この名称のもつ底力とは…?

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#常磐炭鉱 #渋沢栄一
#雑学 #歴史

今日(2024年9月9日)、昭和に直すと「昭和99年9月9日」となる。エンジェルナンバー「9999」の日。そこで今回は秘めたチカラのある名称『常盤』をみていくことにする。意味としては、「常に変わることのない岩」、そこから永久に続くことを表しているという。つまりは一度倒れたとしても復活する不死鳥と考えればよいだろう。そんな事例を3つほど紹介する。

*漫画家の聖地「トキワ荘」
豊島区椎名町にあった木造2階建てのアパート、ここに関西出身の手塚治虫が、1953年(戦後 8年目)に住み始めたことからはじまる。出版社編集部の紹介だったようだ。そのためその後も、石ノ森章太郎や赤塚不二夫、藤子不二雄が住むようになった。

しかし、4畳半に押入れしかないアパート。トイレも炊事場も共同だ。彼ら漫画家たちは金が稼げるようになると、みな新たな部屋を探して引っ越した。この地域のアパート、どの大谷さんも東京へ就職に出てくる若者たちをターゲットに集合住宅をつくったとされる。

しかし建築して30年余り。建物も老朽化し、1982年12月に解体となった。このトキワ荘、漫画家の聖地ということで、テレビやドラマでも話題になる。そんなところから復活させようという動きが出てきた。約40年近く経った2020年にトキワ荘よりほぼ数分のところにある公園内(南長崎花咲公園)にトキワ荘ミュージアムができる。建築費9億4千万円の4割は寄付だという。

*常磐炭鉱(ジョウバンたんこう)の復活!
明治から戦後20年の100年余り、日本経済のエネルギーを支え続けた炭鉱事業。しかし、戦後になると雲行きが怪しくなってくる。エネルギーは石炭から石油にシフトしていったのだ。そうなると、炭鉱事業では喰っていけなくなる。

日本の中心的炭鉱だった「常盤炭鉱」も例外ではなかった。そのため会社では事業変更せまられたというわけだ。考え出されたのは、いままで鉱山の採掘において邪魔な温水の存在。これを利用し、リゾート宿泊施設を作ろうという計画だ。これは映画『フラガール』でも描かれているが、見事に成功したと言える。

東日本大震災(2011年3月)でも、フラダンスが復興のシンボルとなった。現在も確実にこのリゾートは利益をあげている。昨年度は、9億3千万円ほどの黒字だという。だが今日(2024年9月9日)のニュースによると、米投資ファンドに売却という記事が目に飛び込んだ。有利子負債が300億円にも膨くらみ、今後を見据えてのことらしい。

*東京・大手町の常盤橋!
この「トキワ橋」。江戸城の表玄関だった。大名屋敷と江戸城をむすぶ内堀にかけられた大手門。そして、商人の街と武家屋敷のあいだ外堀にかけられた常盤橋門。このニつが江戸城への正式な門(表玄関)だと言う。江戸期には「トキワ橋」は木の部材で作られていた。

明治になると、西洋式の石造りの橋となる。1887年に作られたこの橋、その石材は小石川門の石垣を再利用したもの。ただ1923年9月の関東大震災により多大な被害をうける。通行不能となり、解体するかに見えたが、その費用が工面できず、そのまま放置された。

この橋の代わりとして、50メーターほど離れたところに1926年に橋をつくった。これは鉄筋コンクリート製で、車の交通量にも対応できるものとしてつくったとされる。橋の名称は同じく「トキワ橋」。たぶんこの橋、最終的には解体処分するつもりでいたのだろう。

ここに明治の文化財を残そうとする運動が生まれた。学者や研究者・知識人の団体「武蔵野会」である。このグループが、石造りの常盤橋を残そうと政府に働きかけた。一方で、日本の経済に大きな功績をのこした渋沢栄一。1931年に没したのだが、その1年前から渋沢を称える記念碑を建てる計画が動きだす。どこに建てるかとなったときに、考え出されたのが常盤橋横だった。常盤橋は役人と商人をつなげる橋というのが、その理由と思われる。

*明治期の常盤橋を復活!
この渋沢栄一の銅像を計画したのは「渋沢青淵記念会」。この団体がお金を集め、このとき橋も改修した。だが東日本大震災(2011年3月)にふたたび壊れ、通行止めとなる。しかしふたたび、改修計画ができ、2013年から8年かけて直し、今では使えるようになっている。

石橋と、コンクリート製の橋、どちらも「トキワ橋」という名称になってしまった。これでは区別ができない。そのため、大型のコンクリート制を常盤橋(般と皿の文字)で、呼ぶときは「大(ダイ)トキワバシ」。明治期の石橋は、常磐橋(般と石の文字)で、呼ぶときは「小(ショウ)トキワバシ」としている。

*まとめ
トキワという名称、やはり復活させる力を持っているように見える。人の苗字でみると、「とうばん」 「つねばん」 「ひたち」と読ませる人もいると言う。全国で9300人ほどいるが、北海道から九州までくまなくいるというのが凄い。

たぶんそれだけ良い苗字ということなのかもしれない。また名前でもトキワと呼ばせる人も、男の子にも女の子にもいるようだ。失敗してもまた不死鳥のように蘇ることを信じているのだろう。「トキワ」という名称にはそんな魅力があるのかもしれない。

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