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『孫子の兵法』現代人の我々がここから学ぶべきこととは…?

#孫子の兵法   #徳川家康
#今川氏真   #五事七計
#ブルーオーシャン

日本史愛好家の私にとって、『孫子の兵法』が大事なヒントをいつも与えてくれている。というのも、戦国武将の誰もが読んでいたからだ。戦国時代は、これを著したといわれる孫武の時代とかなり似通った環境だったようだ。つねに戦乱に明け暮れ、いつ死んでもおかしくない時代に生きていた。

「どうすれば生き延びれるか!」「どうやって生き残るか?」は死活の問題だったと言っていい。翻って現代をみたとき、いまの日本では「生きるか!死ぬか?」自体はどこにもない。しかし、会社の立場からみると同じことが言えるようだ。自分の会社が今後10年20年生きのこれるか!それは今でも変わらない。

『孫子の兵法』が、自分の競合相手と戦って勝ちぬき、生きのこる方法と考えるのは間違いだ。どこが間違っているのか?ここにこそ『孫子の兵法』の根本となる考え方がある。その答えは「負けない」という発想。戦国の世であれば、「死なない!」である。

負けず、死ななければ、再び立ち直ることができるということ。この考えこそが『孫子の兵法』の中心をなす思考といえる。戦国武将でいえば徳川家康である。何度も危機的な状況に陥ったが、生き残り、最後は江戸幕府を打ち立てた。

もう一人の武将が、今川氏実(うじざね)である。父の義元が、桶狭間の戦いで、信長に討ち取られた。義元の求心力で、駿河など3国を治めていた今川家であったが、息子の氏真には、荷が重すぎた。家康の台頭もあり、今川家自体は一度は滅んでしまう。しかし、家康とは幼い頃からの顔なじみ。徳川家に仕えることで、江戸260年を生き残ることができた。

ビジネス用語に「ブルーオーシャン」という言葉がある。どこから海の名前?とも思うかもしれないが、それは違う。「ブルーオーシャン」」とは、「波や風のない穏やかな海」という意味から、ビジネスにおいては「競合がほとんどない市場」とことをさす。

反対の言葉が「レッドオーシャン」だ。こちらは血で血をあらう、競合のひしめき合った世界。負ければ会社にとっては、即 死につながる。

『孫子の兵法』という書物は、このブルーオーシャンをニ千年以上前に書きあらわしたものと言っていい。負けなければ、そして命さえあれば、また次はある。これがこの『孫子の兵法』の本質だということだ。

*『孫子の兵法』の核となる考え方。
とかく自分自身と敵の情報収集、その分析を第一とした。それは次の言葉にあらわれている。
「ゆえに曰く、彼を知り、己を知らば百戦して、あやうからず。彼を知らずして、己れを知れば、一勝一敗す。彼を知らずして、己れを知らざれば、戦う毎に必ずあやうし。」

相手を知って、自分を知っていれば百回戦っても問題ない。相手のことを知らずに、自分のことだけ知っていたとしたら、勝負は五分。相手も自分のことも知らなければ、いつ負けてもおかしくない。

*「五事七計(ごじしちけい)」とは
五事とは、国の指導者、会社でいえば社長が、つねに頭に入れておくべきこと5つ。道、天、地、将、法である。
・道とは、リーダーが民衆の意思に沿った政治をおこなうこと。
・天とは、天候についての知識、現代でいえば経済の知識。
・地とは、地政学の知識。とくに近隣国との関係。
・将とは、軍トップの力量。五つの徳があるか。
・法とは、法律や規範の知識。これを持っているのかどうか。

七計は、具体的な行動指針を表す。トップの人身掌握術は充分か。軍のリーダーは、部下の心をつなぎとめているか。法や規律は公正なのか。軍隊の士気は充分なものか。兵の質を上げるように取り組んでいるのか。懲罰は適正なものか。などである。

*太平洋戦争は『孫子の兵法』とは、逆のことをやった!
あの時、国の指導者の多くは、国民の考えとは正反対の方向に持っていった。それをごまかすために、報道をつかい、虚偽の情報を盛んにながす。大本営発表とは、そうしたものだった。

一方、敵国米国の情報分析も怠っていた。日本が真珠湾攻撃をするまで、米国国民のほとんどが戦争にいくのは反対の立場。通告無しでいわば騙しうちしたことで、米国民の怒りの感情は膨れあがり、日本への強烈な反撃ムードとなってしまう。

まさに日本の指導者は「己も知らず、彼も知らず」だったといっていい。負けるのが必定であるだけでなく、多くの国民を無駄死にさせている。

まとめ
「負けないで生き残る」という孫子の考え方は、いまの時代に通じるものと言える。これがニ千年前に著したというのは驚きの一言だ。

企業戦略においても、国の指導者にとっても、学ぶ意味は大きい。だが、どれだけの人が、このことをやっているのか?やらないからこそ国の経済は、いっこうに上向かないのではないだろうか。

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