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[近現代史]ノモンハン(ハルハ河紛争1939) 世界の歴史の転換点!

#近現代史   #日本史 #歴史
#ノモンハン #ノモンハン事件

広大な原野に、地名を振るとしたら、そしてその土地が利用価値のない草原のようなところだったら、あなたはどうするだろう?そんな場所がノモンハンだった。その土地をめぐった奪い合い、これこそ、この紛争の実態だ。

日本国は諸外国が認めないていないのにもかかわらず、満州国を樹立する(1932年)。あくまで滅んだ清国皇帝、溥儀(ふぎ)が建国したものだと言い張った。そして勝手にモンゴルとの間に国境線を設ける。

中華民国時代にも、ロシア(ソ連)とはこの国境をめぐって揉めていたようだ。お互い譲るという事はしなかったが、日本もこの立場を取った。したがって、1935年頃から、この地域では、小競り合いが頻発していたのだ。もうこれは日常的なことと見られていた。

*日本陸軍内の北進論!
仮想的国ナンバーワンは、明治からロシア(その頃はソ連)だった。1910年に行った。韓国併合もこのためだったといっていい。自分の身を守るためには、その間に緩衝地域をつくる!これが最も安全な方法だ。しかも国土を増やすことで、新たな産業も育成でき、国力をあげられる。

ソ連大使館の駐在武官に土居明夫が任命される(1937年11月)。職を解かれ、日本に帰国する途中のシベリア鉄道から、さかんにモンゴル方向へに戦車・装甲車を送っているところを目撃。すぐに関東軍に伝えたと言う。しかし、この情報、関東区作戦参謀・辻政信によって握りつぶされたようだ。

辻政信は、北進論者だった。1939年4月に「満州ソ連国境紛争処理要綱」を起案。これを関東軍司令官に見せると、司令官は各部隊に下達した。これは「侵さず、侵しめざるを満州防衛の根本とする」、「万一侵入されたら、機を失わず応戦する」と。

日常的に国境侵犯が行われているなか、このような通達が発せられれば、結果がわかっていたはずだ。初めから軍事衝突を考えていたものと思われる。辻政信の考えは常に「イケイケ」だ。相手国の火器や重機器等の計算など、どこにもない。あくまで精神論者だった。

*勝ったのか!負けたのか!
モンゴル国は、この勝利により自国の国境線が確定し、独立につながったとしている。その意味からみると、日本側の国境線が認められなかったわけで、ソ連・モンゴル連合軍の勝ちということになるだろう。

一方、戦死者数や占領者数を見ると、わずかではあるが日本側が勝っていた。また、戦車・装甲車はソ連側が400両も失っている。この面から見ると引き分けという見方もできるかもしれない。

日本では、この戦いを「ノモンハン事件」という名称で語っている。一方、ロシア(ソ連)を「ハルハ河戦役」だ。どちらも戦争という言葉では語っていない。あくまで一つの国境線をめぐる紛争という立場である。両国ともこの戦いはなかったものにしたいようだ。しかしどうだろう?これは間違いなく戦争なんじゃないか?と。

*ノモンハンという名称!
モンゴル語で「ノモンハン・ブルド・オボー」から来ている。つまり、チベット仏教でいう所の「聖者の塚」だ。モンゴル国やソ連では、この名称は使わない。あくまで「ハルハ河」地域としている。

国際的に見ても、ほとんどの国が「ハルハ河」としているようだ。日本側がこの名称にこだわる理由はよくわからないが、歴史の教科書にも載っているわけで、別の名称で呼ぶと「いつの」、「何の」戦いか分からなくなってしまうと言うことだろう。

そうであるならば、「ノモンハン・ハルハ河紛争」がいいと思う。そこまでいう理由は、この戦争の持つ意味の大きさだ。このあと日本は南進(東南アジアへ進む)に方針を変えた。これが太平洋戦争に進むキッカケともなったのだから、極めて重要な戦いだったということだ。

*スターリンの戦略!
ソ連としては、西と東の両面で戦争をすることはできない。ほぼ圧勝とも考えた国境紛争、ここでも苦戦を強いられた。日本の動向は、スパイ・ゾルゲを通じ、逐次もたらされていたようだ。「日本はソ連侵攻を諦めた!」と…。

しかしスターリン、最後まで心配したようだ。「日ソ不可侵条約」があっても安心はできない。この戦いの蹴りをつけたことで、自由に西に目を向けることができたということだ。この戦いにより、ドイツとの戦に舵を切るきっかけにもなった。

まとめ
これほど大きな意味を持つ「ノモンハン」。名称が事件では、あまりに矮小化しすぎるのではないかとも思う。せめて紛争であるし、実態は戦争だった。両国、それぞれ一万名近くの兵員を死なせているのだ。

これでは死んだ人たちに申し訳ない。実際、この戦いお互い何の利益にもならなかった。あえて言えば、このとき日本側が自国の力の無さに気づいていれば違ったのだが… .。

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