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[ Biz ]温泉地『熱海』、町おこしでV字回復、その理由とは?

#熱海 #温泉地     #町おこし
#市来広一郎 #山田久貴
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YouTubeなどで人気なのが廃墟温泉。バブル経済以前つまり1980年代までは隆盛だった温泉地。団体客が減りつづけ倒産する施設が合いついた。駅前の一等地にたつホテルも例外ではない。日本中がまさにそんな状態となっている。一方、我々が住んでいる住宅地、こちらも近隣の商店街は壊滅的。シャッターが下ろされたままになったり、取り壊され更地になったところが多い。ここ10年20年言われ続けているのが「街おこし」、これは急務とされる。

実は私自身も「街おこし事業」に参加したひとりだった。地元商工会議所の呼びかけに応じたもの。このときの話は「一店逸品運動」だった。静岡市呉服名店街で、1993年から始まった事業。JR静岡県駅から徒歩10分の近さだが、客は減り続けていた。そのなかで何故かバック店だけが賑わっている!それを見た商店街長がこの店に他にない逸品(優れた独自製品)に気づく。これを商店街の全店でやることで、街の賑わいを取りもどすという考えだった。

逸品とは、第三者の目から見て、誰もが買いたくなる商品。呉服町の各商店主は、自分の開発した商品を仲間に見せ評価してもらい、逸品としての価値を確認していく。だが地元商工会の逸品事業、いくらこの話をしても聞く耳をもたない。自分で勝手に逸品をつくれと言う。すぐ参加をとり止める。いまでも逸品会のチラシを見ることがあるが、成果はまるで出ていないようだ。

*温泉地、人気第1位の熱海!
昭和の時代、新婚旅行といえば熱海であり、会社の団体旅行は熱海だった。1969年の観光客は532万人。そこから2011年まで下がり続け、とうとう半分以下の246万人まで落ち込む。しかしこの年をそこにしてV字回復を図ることに成功。2019年は312万人、コロナ禍で2020年2021年は200万人を切ったが、2022年より徐々に回復し、昨年2023年は296万9千人だった。

客層が近年、だいぶ変わったと言われる。以前は中高年の宿泊客が多かったが、現在この人気を支えているのは20代30代のようである。なぜこの年代にアピールができたか?そこを見ていくと、ニ人の人物にたどり着く。1人は若手の起業家、もう1人は中年の市役所職員である。

*マチモリ代表、市来広一郎!
市来(いちき)は、この熱海で生まれ育った人物。繁栄していた熱海と、徐々に衰退していく熱海、どちらも目にしていた。1度は都内で就職するも、地元にUターンし帰ってくる。ここで取り組んだのが町おこし事業(2009年から)だった。

まず取り組んだのが実態調査だ。市来が驚いた話がある。それは観光課から聞いたもの。観光客からのクレームだった。
飲食店で、熱海の観光地を聞いたが「無い」と言われた。タクシーの運転手にも、宿のスタッフからも同じ話だったのだ。地元の人が地元の魅力を知らない!これではいけない。そう気づいた市来。取り組んだのは、地元住民のための体験ツアーだった。地元の優れた観光名物を知らせるというもの。年間70回以上を企画、徐々に地元住民の意識を変えていくことに成功する。

一方、2011年からは観光客向けのイベントも実施。熱海には老舗が多いが、その「見せ方」「届け方」を伝えていく。また、低料金のカプセルホテルも整える。この施設を通して観光客は地元住人との繋がれる場め作った。市来の信念は「人こそディスプレイ」である。

*観光経済課、山田久貴!
熱海市役所において、全くユニークな取組みを山田一人でおこなってきた。テレビのバラエティー番組や情報番組のロケをサポートする事業、なんと24時間1年365日体制で受け付けるという。テレビが番組をつくる際、大変なのが下準備。ロケ地の選定、飯の準備、宿泊先の手配、駐車場やトイレ等など細々したことを決めていかなくてはいけない。

これすべてを山田一人でやってくれるのだ。しかも基本は無料、テレビ局にとってこんなありがたい事はない。口コミで、マスコミの中で徐々に広がっていった。2012年から始まったというから、今年で12年目。話を聞くと、現在58歳で少々疲れ果てたという。そんな山田のお陰もあってか、テレビで熱海の情報が流れつづけ、人々の関心を誘ったのだ。

*まとめ
市来や山田の働きにより、だいぶ賑わいを取り戻した。だが、これで大丈夫とはいかないようだ。市来が言うには「継続こそ大事」と…。また、今まで一人でテレビ対応していた山田、ここに来てニ名の職員が入ったという。この2人が山田意志を引き続いてくれることを期待する。

日本は経済が停滞し、早30年。いまだ出口は見えない。それもこれも全て政治に責任があると言っていい。日本経済は潜在能力は高いのだが、オペレーションする人間に能力がないのだ。いまのままではこの先さらに低迷を続けていくことになる。どうにかしてもらいたいと思うのは、私だけではないはずだ。

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