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最近入庁する地方公務員に起こっていること

新年度は早くも3ヶ月が経過しようとしています。
いかがでしょうか。
仕事にも慣れてきましたか?今回は、最近入庁する地方公務員に起こっていることをお伝えしたいと思います。


1.新採ポストがどんどん再任用職員に置き換わっている

近年、地方公務員の再任用職員の比率が徐々に高まっているように感じます。再任用制度自体はだいぶ前からありましたが、今年度からは定年延長に伴い、「役職定年」という聞き慣れない言葉も耳に入るようになりました。

1.役職定年制(管理監督職勤務上限年齢制)の導入(一部抜粋)
○ 組織の新陳代謝を確保し、組織活力を維持するため、役職定年制(管理監督職 勤務上限年齢制)を導入する。
・ 役職定年の対象範囲及び役職定年年齢は、国家公務員との権衡を考慮し た上で、条例で定める。
※ 役職定年の対象範囲は管理職手当の支給対象となっている職を、役職定年年齢は 60歳を基本とする。

地方公務員法の一部を改正する法律案の概要(総務省ホームページ)

簡単に申し上げますと、地方公務員の定年は「60歳」であったものを、国家公務員と同様に、今後10年かけて定年を「65歳」とするものです。
ただし、管理職としての役割は、これまでどおり「60歳」で終わってね。という感じです。
上記のとおり、「組織活力を維持」するためですが、このためにいろいろ問題が生じ始めています。

これまで、先述のように「再任用制度」というものがあり、「60歳」で定年となった地方公務員は希望(し、引き続き人事担当部署が承認)すれば、「65歳」まで働けるシステムがありました。
今回の「役職定年制」は基本的に「60歳」を超えた職員は、そのまま職員としての身分を有しています。(例外あり。)
以前であったら、定年退職すべき年代の職員の面倒を組織として見なくてはなりません。

しかし、地方公務員の組織定数の絶対数が増えたわけではありません。
その一方で「60歳」を超えて、経験は十二分にあれど、体力的や事務処理能力的には若手ほどの期待をより難い職員が多数生まれることとなりました。
地方自治体では、そうした「役職定年」のために、新たに係長級相当のポストを増やしたり、これまで新採が配置されたポストをどんどん入れ替えをしているのが実態です。(ここでお示ししているのは、某田舎県の場合です。)

2.いきなりしんどい仕事を任される

このような事態を受け、新規採用職員(以下「新採」といいます。)の配置状況に近年変化が見られつつあります。
それは、新採がかなりヘビーなポストを割り当てられるようになってしまったということです。
具体的にいうと、前任は30代~40代のベテラン。というような職員から仕事の引き継ぎをうける新採が多くなったという印象を受けます。

1.で述べたように、これまで新採が配属されていた比較的平易と考えられていたポストには、多くの「役職定年」した職員が割り当てられるようになりました。
それに対し、経験はなくとも、体力や地方公務員に染まっていないフレッシュさ笑を買われて、新採がどんどん大変なポストを任されています。
これも「役職定年制」による、「組織活力の維持」であれば、大いに歓迎すべきことですが、果たして実態はどうなのでしょうか。

3.相談したくても中堅職員があまりいない

話は変わりますが、地方公務員の採用に関しては、2000年代はかなり冬の時代を迎えていました。
団塊世代の大量退職の真っ只中でしたが、長引く不況やバブル期に職員を大量採用した影響で、人件費が各自治体の財政を強く圧迫していました。
地方公務員は「終身雇用制」かつ「年功序列」を基本とし、民間企業のような「リストラ」はできません。
そうなると、その「入口」にあたる「採用」を、大幅に縮小しました。
某田舎県の場合、毎年100人定年退職者がいると仮定すると、採用者は50人程度というような時期がありました。
単純に換算すると、定年退職者に対し、毎年50%弱の職員数を削減できました。

その弊害が、今になって大きく出ています。
このような時代に採用された職員は現在、働き盛りの30代~40代を迎えていますが、圧倒的に少数の世代となっています。
これらの職員を配置すべきポストにも、近年採用が増えつつある若手職員をどんどん配置しています。
中堅世代の数が少ないので、新採が相談すべき職員も圧倒的に少ないという事態を迎えています。
これによって、部署によっては50代と20代を中心に構成されている。というもの珍しくなくなりました。

地方自治体は本当に苦しい事態に陥っています。
民間企業でも同様の事態が起こっているのではないのでしょうか。
人手不足と言われてかなり久しいです。
志ある若手職員をどれだけ大事にできるか。
本当にあらゆる自治体が「試される時代」に直面しているのではないのでしょうか。

もう、かなり手遅れな気もするけどね。

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