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傷病手当金をもらう際の注意点(地方公務員編)

お久しぶりです。
今年度も半分が終わろうとしていますが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は久しぶりにこちらに関連したお話です。

こちらの記事で、公務員は休職して1年経過しても、最大で2年間傷病手当金を貰える制度をご紹介しました。
その際にどうしても注意したいことをお伝えします。


1.前年度受給した給与に対し住民税が課税される

ごくごく当たり前のことから。
休職後、傷病手当金が支給され始めても、各種税金はかかります。
傷病手当金を受給しているからいって、免除規定はありません。
休職中に受給した給与に対する住民税などは、その翌年度に課税されます。
なぜ、わざわざそんな当たり前のことをいうのかというと、
給与が支給されていませんので、その年の1月1日時点でお住まいの市町村へ、住民税を課税する自治体から送付される納付書に基づき、自分自身で納めないとなりません。
給与が支給されていないので、天引きで徴収ができないからです。
住民税の世界ではこのように、自分で住民税を納めることを「普通徴収」といいます。

個人の住民税の納税の方法には、普通徴収と特別徴収の2つがあります。普通徴収は、納税通知書をご本人にお送りして、納付書や口座振替により納めていただくものです。特別徴収は、給与所得者の給与や年金所得者の年金から差し引いて納めていただくものです。

普通徴収と特別徴収の違いは?年の途中で切り替えることはできますか(東京都府中市より)

給与が支給されているときは、「特別徴収」と言いまして、住民税は給与から天引されています。
このため、住民税を納付している!という意識をせずに納税ができているのですが、傷病手当金を受給し始めると、自分自身で、納付書等を用いて最寄りの金融機関に納付します。
納付書は概ね4回分にわけて送付されます。「特別徴収」であれば、毎月の給与から天引なので、1年分の税額が12回にわけて納付しています。
しかし、「普通徴収」ですと、1年分の税額が4回にしか分けて納付できません。
納付回数の多寡により、トータルの納税額がかわるわけではないのですが、1回あたりの納税額が増額するので、経済的な負担が大きいと感じることが多いようです。
どうしても支払うことがしんどい。という人は、納付書が送付される市町村に早め早めの納税相談をされることをおすすめします。
税金なので、滞納すれば、当然「差し押さえ」ということが想定されます。

2.共済組合への掛金(社会保険料)の納付義務がある

意外な落とし穴です。むしろこちらをとても気をつけてほしいです。
傷病手当金を受給しているといって、共済組合への掛金(サラリーマンでいう社会保険料)の支払いを免れることはできません。
共済組合掛金の免除規定は、産休・育休に限られます。

共済組合掛金は医療費等の短期掛金、年金等の長期掛金、40歳以上ですと介護掛金がかかります。
この3つを合わせると、1月分でもかなりの金額になります。
共済組合によって、扱いがことなるかもしれませんが、掛金は概ね休職時に支給されていた給与に基づく標準報酬月額によって決定されます。

この掛金も給与が支給されていると、天引きで徴収されます。
給与が支給されなくなると、共済組合から納付書が送付され、それにより納付しなければなりません。
共済組合によって異なるかもしれませんが、納付書は毎月送付されるというわけではなく、約3ヶ月分の納付書が年約4回にわけて送付されます。
掛金の納付書も1月分で1枚。というわけではなく、◯月分短期掛金、◯月分長期掛金、◯月分介護掛金。と、1月分で最大で3枚の納付書があります。
近年、社会保険料の増額改定が話題となっていますが、共済組合掛金も同様に増額改定が毎年のようにあります。
傷病手当金を受給していると言っても、こうした掛金は納めないとなりません。
経済的に苦しいと言って、納付をしないと、頼みの傷病手当金の支給が打ち切られるという事態にもなりかねません。
どうしても納付が難しい場合は、いち早く加入している共済組合に問い合わせるべきと思います。

3.傷病手当金を受給すると、いままで気づかなかったお金が可視化される

住民税や共済組合掛金は給与が支給されていれば、天引きされるので、その存在になかなか気づきづらいです。
傷病手当金を受給し、納付書で納める。ということで、そうしたお金の流れが見えると同時に、納付書で納めるので、しっかりとした自己管理が求められます。
納期を過ぎてしまった。となれば、税金ですと延滞金の対象になりますので、場合によっては請求額以上の納税をしないとなりません。
また、特別な減免規定があるわけではないので、支払いについては、経済的な負担が生じます。
申し上げたいことは、傷病手当金を受給しても、支払うべきお金が多い。ということです。
好きで傷病手当金を受給している人ばかりではないことを承知しています。ただ、こうした案内が、一般的にあまりなされていないように私個人は思います。
常識・当然だろというのは、わかります。
ただ、実際当事者になると、かなり大変な問題だと思います。

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