本当はデビューしたくなかった。

現在4作目の小説を執筆しながらnoteを更新しています。いい気分転換になるので、なんとか続けられてます。


前回の続き。
デビュー前の僕はプロットを一切作らずに、書いた一文に対し次の文を考えるといった、今思えば効率の悪い執筆スタイルで書き進めていた。
余命一年〜も設定以外は何も決めずに書き始め、けれど筆が止まることは一度もなかった。
ただ、この小説を書いている時、仕事のストレスがピークに達していて、最後まで書き切れるかの不安が大きかった。
胃腸炎の影響で常に胃がキリキリするし、微熱が続いていて、胃薬と解熱剤を服用して毎晩遅くまで死にかけながら書いていたのを覚えている。
命を削りながら書いたというよりも、逆に僕は主人公の二人に助けられていたような気がする。
仕事が終わればあの二人に会える、あの二人の物語を綴れる。それだけが活力となっていた。
だからなのか、この物語は書き終えるのが寂しかった。できるならもう少し二人の物語を書いていたかった。

書き終えた時、正直手応えがあった。書籍化を通り越して映像化まで見えた。
この小説は誰かに読んでほしいと思って、初めて小説投稿サイトに投稿し、読者の反応を待った(ちなみにその時のペンネームはJO太郎。深い意味はない)。

思っていた通り、評判は良かった。恋愛部門のランキングでトップ10入りしたり、たくさんの感想やレビューをいただいたり。続編を読みたいとの声が多く、ヒロインの親友である三浦綾香に視点を変えて続きの話(デビュー作に収録されているその後の話)を書き、それも好評だった。
そこで自信を得た僕は、この作品を新人賞に応募した。
しかし結果はまたしても一次選考で落選し、これは相当落ち込んでしばらく新作は書けなかった。

この作品だけはどうしても諦めきれなくて、何度も新人賞に応募した。
結果は一次選考落選が三回。その後改稿を重ね、新潮社主催の青春小説大賞で最終選考に残ることができた。
最終選考通過の連絡が来た時は信じられなかった。自信作ではあったが、落選が続いて自信を失っていたから。
しかし二週間後、落選の連絡が来た。
これも相当落ち込んだが、その三時間後に奇跡が起きた。
二ヶ月くらい前に気分転換に初めて短編小説を書き、試しに新人賞に応募したことがあった。

青春小説大賞に落選して落ち込んでいた三時間後に届いたメッセージがこちら。


なんと最終選考落選後に今度は別の賞の受賞連絡が届いた。地獄から天国に昇った気分だった。
自信作というわけでもなかったのに、まさか受賞するとは思わなかった。応募者数は500以上だったし、プロの作家も応募していたから絶対無理だと思っていた。
この受賞作を読んでくれたポプラ社の編集者が、僕が小説投稿サイトに掲載した『余命一年と宣告されて入院したら、余命半年の少女と出会った話』も読んでくださって、「うちで書籍化しませんか?」と連絡をくれた。

しかし僕はその時、第五回スターツ出版文庫大賞に同作を応募しており、しかも最終選考に残っていた。
数日間考えた末、最初に声をかけてくれたポプラ社を僕は選んだ。両社を天秤にかけたわけではなく、ポプラ社を断ってスターツの新人賞に落選するといった最悪のケースを回避するためにそうした。
何よりメッセージをくれた編集者の熱意が決め手だった。

実は書籍化の話自体、断る選択肢もあった。新人賞に応募しておきながら、いざデビューできるとなると怖気づいた。
少し前にTwitterで、1000冊読まないと作家にはなれないという話題が物議を醸していたが、僕はその時小説を40冊も読んでなかったと思う。
そんなやつが小説家になっても上手くいくはずがないと考えていた。
でもここで断ってしまったら、二度とデビューできるチャンスはないと思い、腹を決めて引き受けることにした。

そうしてペンネームをJO太郎から森田碧に変更し、2021年の1月にデビュー作を上梓したのだった。

以上、デビューまでの道のりを簡潔に綴りました。
読んでくださってありがとうございました。
次は適当になんか書きます。

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