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TomDixon のビートライト

LIGHT & DISHES Lab.では、7月よりUKのデザイナートム・ディクソンの展示マンスリーが開催中だ。

ガラリと空間の印象が変わった。特に、MELTシリーズの存在感が強烈なのだ。照明はが一番の核なのだけれど、その光さえ異次元のもののように思えてくる。これは直に空間に身を置いて体感してもらうしか伝わりようがないのだが、実は個人的にある思いが注入してしまうのが、BEATシリーズだ。

BEAT FAT、TALL、 WIDEの3種類を展示している。前は白熱のハロピンというハロゲンを光源にしていたが、今は同じハロピンタイプのLEDになっている。

照明会社に勤めていた時に会社が輸入し取り扱っていので、あの少し苦い時のことがこの照明を見ると思い出してしまう。苦いというのは、輸入販売するならば、全部扱って欲しかくて、「なんでビートライトしか扱わないのか ?しかも、BEATの中でも1-2機種だけ ? 」と何度担当部署に詰め寄ったことか。。デザイナーのつくる世界観というものは、1機種だけでは伝わるわけがない。どころか"それしか無いんだ"と変な誤解さえ生むからだ。もちろん、市場を考え、売れるかどうかを見極めることは必要だ。でも売れるかどうかは、売りたいと思うかどうかにつながる。しかし、当時会社はデザイナーのことや、プロダクトのストーリーは二の次だからということだったのだろう。。
私は後にその会社を辞めて独立してすぐにAXISのウェブで照明の連載をさせてもらうきっかけと出会った。その第8回目の連載にトムディクソンのことを書いている。その中でビートライトについての記述が以下だ。

ディクソンはBeat Lightの開発のなかで、伝統技術を絶やさない活動もしています、彼の著書『DIXONARY』によると、Beat Lightは、インドの女性や子供たちが水を運ぶ水差しに関係しているそうです。昔から水差しは真鍮製できめ細かい槌めを真鍮に打ちこむ職人の技術が特徴です。それが近年では安価で質の悪いプラスチック製の水差しに変わりつつある。伝統技術が失われていくことを知ったディクソンは、職人たちの街、インドのジャイプール市に向かい新しい可能性を見出していくのです。真鍮製の水差しに施される伝統技術をBeat Lightの生産で活かし残していくのでした。

Web マガジンAXIS Lighting Edit 連載より

会社員時代にちゃんと伝えてあげれなかった気持ちがきっとどこかに引っかかっていたのかもしれない。連載の全文のリンクは以下に。

ということで、デザイナーの世界観を伝えたいということだけではなく、やはり照明会社時代は、他にもいろいろ苦いことはあって。ビートライトを見るとまるで修行時代を思い出す・・みたいな感覚になるのだ。
言い換えれば、あの時代のおかげで今があるのだけど。ビートライトとの久々の再会がLIGHT & DISHES Lab.なのも縁だな。

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