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記事一覧
題詠100首(2022)
2022-001:来
もつ鍋を持て来し友は玄関に無言の「またね!」を残して去りぬ
2022-002:扱
ひと老いぬまたは去りけり雑草(あらくさ)の扱(こ)がれぬままに里は荒れゆく
2022-003:巡
父母(ちちはは)よ友よ何処(いずこ)ぞかの日より季は巡るとも未だ帰らず
2022-004:積
春立てどまだ肌を刺す烈風が積もれる雪の飛礫(つぶて)を放つ
2022-005:時期
青春や朱夏と
題詠100首(2021)
2021-001:求
我はなぜ生きているのか求道者イニシャルKは自死したりけり
2021-002:悲
芥子の実を求めにゆかん悲しみのないひとの住む家を探して
2021-003:店
母方の男ども皆死ににけり 商店街は閑散として
2021-004:普通
「なぜできぬ みんな普通にしているぞ」今し答えん「人でなしゆえ」
2021-005:絵
餅の絵は描かねど春の手すさびに色紙で折る門松、達磨
題詠100首(2020)
2020-001:君
四君子の「竹」で挫折す密やかなライバル心を父にいだくも
2020-002:易
開いている金庫なれども安易には開けるなという家訓が残る
2020-003:割
割り勘にすると言い張り電卓を睨む目つきに心冷めゆく
2020-004:距離
ジョギングの距離をネットで調整すヨンテンニイイチキロメートルに
2020-005:喉
喉頭に炎症あれば「処方した薬はすべて飲んでください」
題詠100首(2019)
2019-001:我
おとうちゃんにいちゃんときにおかあちゃん母は呼ぶなり我に向かいて
2019-002:歓
湧き上がる歓喜の泉年末に何度聴いても枯れることなく
2019-003:身
見せられる身体(からだ)目指して言い聞かす結果に強くコミットするぞ
2019-004:即
猫の背を撫でおれば「にゃー!」手の甲に浮く爪の痕即ちイタイ
2019-005:簡単
「カイゴ(介護)」とう簡単な語彙耳
題詠100首(2018)
2018-001:起
介護する我が起きねば始まらぬのたうちまわり這いずりまわり
2018-002:覚
酔い痴れん前後不覚に陥らん朝(あした)が来ない夜があるなら
2018-003:作
この年の平らかであれ神託に世相は「七分(しちぶ)」作柄は「中(ちゅう)」
2018-004:いいね
「かわいいねぇ」母の臙脂のカチューシャをデイの仲間がしきりに褒める
2018-005:恩
恩師逝きわが身のう
題詠100首(2017)
2017-001:入
草むらに指をさし入れ突っついてゆくフキントウ八つ九つ
2017-002:普
どの野にも普通に生(お)うる草花に愛でられるあり駆除されるあり
2017-003:共
「鹿どもは山の貴重な花も食う」共生という実りの遠し
2017-004:のどか
「銃による捕獲」の入る里山に鹿はのどかに草を食(は)むらん
2017-005:壊
「里山が壊れなければかくあらじ」いつまでだって仮
題詠100首(2016)
2016-001:地
地に落ちたつららが古き神殿の柱のごとく地に横たわる
2016-002:欠
歳経(ふ)れば欠席多し「参加するとき連絡を入れてください」
2016-003:超
「まだ九十! さあリハビリを続けましょ」 互いに「今」を「ここ」を超えゆけ
2016-004:相当
一万円相当の紙二十円安寧を請う故国日本の
2016-005:移
声をかけ呼吸を合わせ組みあいて車いすへと身体を移す
題詠100首(題詠マラソン2003)
2003-001:月
月影に耳をすませるいにしえの管弦の音(ね)を聴くがごとくに
2003-002:輪
拾い上げひねくりまわしねぶりたり頑是なき子の投げない輪投げ
2003-003:さよなら
「さよなら」は三回続けて言うことば我(わ)魅了せし淀川長治
2003-004:木曜
木曜の午前に来ては聖書よりご近所ネタをしゃべくってゆく
2003-005:音
雨だれの刻むリズムと秒針の音が微妙にず