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二十歳の部屋~膝枕

無言で部屋に戻り

ずしりと重いズタ袋を投げ捨て

畳に座り煙草にマッチ

勿論、マッチは徳用サイズのマッチ箱

いくらこすっても、火が点かないと

彼はますます苛立ち

マッチは彼のその日の憤怒の分量、

ポキポキと折れ

徳用箱の周囲には

頭の赤い綺麗なままの

折れたマッチが増える

”ほら、はい”とー

彼の煙草に火の点いたマッチを近づける

”お?・・あぁ”

一本目を吸い終える頃

決まって彼は わたしの膝枕をせがむのだ

膝に彼の頭の重み

スカートから出た脚に彼の髪の毛が触れると

くすぐったい

こんな日の彼は

母性を求めるように

わたしの膝から じりりと上に

頭を動かし

やがて その芯の部分に着いたなら

顔埋め

声出さずに咽び泣くのだ

オレは無力だ

クソっ・・・

母となったわたしは

彼の頭を撫で背をさする

子どもであった筈の彼は

そのうち わたしの腰に両の手廻し

欲望の指を持つオトコに変わるのだった


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