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茫洋たる

少女は背筋を伸ばし早足で歩く

茫洋たる森を抜け出た先にある
かの空き地に腰降ろし

ただ聴こえる鳥の声や

風にそよぐ樹の葉の音


裸足に土は心地よく

秋には枯葉
春には瑞々しい緑の中

蟻んこを踏まぬよう
入念に足元を観て

そう
少女は文字通り、虫も殺さないのであった

不注意に何某を踏みつけ
息絶えたモノあらば
土掘り、埋め、墓標を木切れで作った

少女は最も身近である筈の
大人が怖かった


少女は、何も視ず感じず
そこに息潜め
ただ、"在る゙だけであった