見出し画像

無数の視線より怖れるは。

如何なる視線をも

憎悪と嫌悪の情すら

わたしは受け入れよう

無数の視線など塵なのだ

わたしの奥深く、揺るがず眠る

この信義と誇りこそが

わたしを覆うとき

それらは刹那の痛みに過ぎない

わたしがわたしを理解し損ねない限り

悪意も害意も

取るに足りぬ塵だ

最も怖れるべきは

時に襲う

この虚無と寂寥と憤怒と

要は

わたしがわたしを拒み

持て余すときなのだ

その視線は

わたしの誇りを粉々に打ち砕き

最早

愛する者の慰めも説得も助言も

風に乗り通り過ぎる葉に過ぎぬ

嗚呼

途方も無く

わたしは わたしを愛し忌む

案山子の母よ

あなたの細き真っ直ぐな腕にすがり

無音の言葉に耳傾け

蹲る子どもで居たかった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?