クラブ活動と私[番外編]:八坂神社と私#APPEND

※前回までのあらすじ？※

ラブコメ(？)はもう書きません、たぶん。
一応”ノンフィクション”ではあるけれども。

時は流れて1996年12月31日。

…今から28年前？それは流石に嘘だよ。

嘘だと言ってよ、バーニィ！

高校を卒業してからすでに5年ほどの月日が流れ、
皆がそれぞれの進路を歩んでいた。

私の一年後輩にYAくんという男がいる。
彼は高校を卒業後、専門学校を経て
(株)SNKに入社、プランナーを務めていた。
入社後いくつかのタイトルに関わったのち、
この頃にはSNK格闘ゲームの看板タイトル
『ザ･キング･オブ･ファイターズ(以下KOF)』
シリーズの開発チームに参加していた。

創作部なりの同窓会といった意味合いもあった
毎年恒例の初詣。
とはいえ、一部のメンバーは普段から週末になると
高校時代から通っていたゲームセンターに集まり、
ゲームだメシだと馬鹿をやっていたのではあるが。
彼も私もそんな”馬鹿”の一人である。

さて、例年通り八坂神社への参拝をしていると、
誰かが境内のはずれにある小さなお社に気がついた。

悪(惡)王子社(悪王子神社)。
素戔嗚尊荒魂すさのおのみことあらたまを祀るお社である。
この”悪”とは所謂善悪ではなく『強い力』を表している。
元は現在の悪王子町にあった社が明治時代に遷された。

『悪王子社あくおうじしゃ』。
そのインパクトある固有名詞は、いまだ厨二病から
抜け出せていないバカでガキな男どもには、
恰好の話題の的になった。

「悪の王子だ、悪王子。」
こうしてバカ話に花が咲き、謎のキャラクター
『悪王子あくおうじ 社やしろ』が誕生した。

ところがこのネタ、只のバカ話では終わらなかった。

YAくんはプランナーである。
あらゆる所にアンテナを張り、常にアイディアの
元となる情報を収拾し続けている。
『悪王子 社』が彼のアンテナに引っ掛かった。

年が明けて翌97年夏。
KOFオロチ編の最終作『KOF'97』が稼働を開始した。
プレイしてみようとチーム編成をどうするか、
キャラクター選択を考えていたところ
仕事が一段落し遊びに来ていたYAくんが言った。
「K(私)さんは『七枷ななかせ 社やしろ』をチームに入れて
ください。これは義務なので(笑)。」
「･･･はい？」

『悪王子 社』は『七枷 社』に”転生”していた。

七枷 社。画像は最新作『KOF XV』より。
設定上、社の誕生日は”12月31日”となっている。

ご存知の方もいると思うが、この七枷 社は
ラスボスである地球意志『オロチ』の復活を目論む
オロチ八傑集のうち”オロチ四天王”の一人。
つまりストーリー上は”敵キャラクター”である。

当初はそうした設定が伏せられていた。
そのため”悪王子”という流石にネタバレそのものな
名前は企画段階で使えなかったわけだ。
”七枷”という名前は、私が部活動で使っていた
ペンネームの一部をアナグラムにしたものだった。

そんな話をYAくんに聞かされた。
なるほどこれは七枷 社を”使わざるを得ない”。

『龍虎の拳』より。

オロチ四天王に関するウラ話はまだまだあるのだが、
それはまた別の機会にしよう。

ここからは余談ではあるが、当時SNK本社があった
大阪府吹田市江坂町には『江坂神社』がある。
この江坂神社、日本各地にある”素戔嗚尊”を祀る
神社のひとつである。
そう、あの『悪王子社』と同じだ。

これも何かの因果なのだろうか。

なお、日本神話において八岐大蛇を退治したのは
他ならぬ素戔嗚尊である。
･･･これ設定ホントに大丈夫なの？