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プロレスと私#1:少女と悪役レスラー

皆さんプロレスはお好きですか?

私は大好きである。


幼少期から金曜日の夜8時は
『ワールドプロレスリング』を観て育った世代。
猪木さんに、藤波さんに、そして何よりも
佐山聡さん扮する”初代タイガーマスク”に
子供の頃から熱狂してきたのだ。

そんなプロレス好きの私にバッチリ刺さる、
面白いtweetを今日見掛けた。

プロレスでは時には意図的に、時には偶発的に
こうしたファンを巻き込んだ展開が頻発する。

そこで今回は、私が間近で目撃した”あるレスラー”と
ファン(?)との”ほっこりするような”ユニークな
エピソードをご紹介しようと思う。


私は日頃から『DRAGONドラゴンGATEゲート(以下ドラゲー)』
というプロレス団体を追いかけている。
”ドラゲー”の魅力についてはまた別の機会に
改めてお話するとして、数年前、まだコロナ禍で
スポーツ観戦などが厳しくなる以前のことだ。

『DRAGONGATE』。
神戸を本拠地とする”地域密着型”のプロレス団体。
他団体にはないハイスピードバトルがウリだ。

私は近場で開催されるドラゲーの地方興行を
観戦するため、”相方”と試合会場へ足を運んだ。

当時のドラゲーは悪役ヒールレスラー達で結成された
ユニット”R・E・D”がタイトル戦線にも
絡んでくるなど、幅を利かせていた。

第一試合ではそのR・E・Dと正統派レスラーたちが
4対4で早くも激突。試合は序盤からR・E・D陣営が
やりたい放題で、開始数分で両軍が入り乱れた
場外乱闘が始まった。

私たちの席は正面サイドの前から2列目だ。
まさに目の前で乱闘が展開され、座っていた席も
もはや滅茶苦茶になっていた。

そんな中、最前列に座っていた4~5歳くらいの
女の子が特に怯えるような様子もなく、間近で
展開される乱闘に目が釘付けになっていた。

R・E・Dに所属する1人のレスラーが少女の目前で
相手のレスラーを捕まえ、屈ませたうえで背中に
両手でハンマーを叩き込もうと拳を振り上げる。

そこでその悪役ヒールレスラーと少女の目が合った。
少女はただただ、その様子をじっと見つめている。
「何してるの?」とでもいった風に。

「何してるの?」

悪役レスラーの動きが止まった。
というか、固まってしまった。
やがて振り上げた両手をゆっくりと下ろし、
相手のレスラーを脇へと追いやる。

そのまま彼と少女はしばらく見つめ合っていた。
「お嬢ちゃんはオレの事、怖くないのかい?」
「うん。で、何してるの?」
そんな無言のやり取りが目に浮かぶようだ。

場外乱闘で自分たちの席がぐちゃぐちゃになり
ワーワーキャーキャー言っていたハズの相方が、
隣りでクスクス笑いだした。
おそらく2人の間の”空気”を感じ取ったのだろう。

件のレスラーは自分を見つめ続ける少女の頭に
ポンと軽く手を乗せると、少女にウィンクして
乱闘へと戻って行った。

将来このリングを背負って立つかもしれない
練習生たちが元通りに並べ直してくれた席に
戻ると、相方が言った。
「カワイイね、あの人。」


KAZMAカズマ SAKAMOTOサカモト選手。
”世界を知る悪の内通者”の異名を持つレスラーだ。

KAZMA SAKAMOTO選手。

KAIENTAI-DOJOでデビューを果たし、異名通り
アメリカ(=世界)最大手のWWEをはじめ様々な
団体を渡り歩いてきた名悪役ヒール

先述のエピソードの時点ではフリーランスの
選手としてドラゲー(R・E・D)に参戦していた。

素顔の彼はどこかの実業家かと見まごうほどの
知的な風貌。実際に普段の姿でインタビューを
受ける際には高いインテリジェンスを感じさせる。
あえて悪役ヒールを演じているのも
「そのほうがより強く印象に残るから」だという。

現在は”GLEATグレート”所属の選手として活躍中。
ワルく、強く、ズル賢く、ちょっぴりお茶目。
そんなKAZMA SAKAMOTO選手から目が離せない。

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