インドネシアとEV
こんにちは。
今日のテーマは、インドネシアとEVについてです。
インドネシアとEVについて、以下にまとめました。
①EV販売台数の急増
②国内外メーカーの参入拡大
③EVエコシステムの構築
①EV販売台数の急増
インドネシアのEV市場は急速に拡大しています。2022年には約1万台だったEV販売台数が、2023年には約1.7万台に増加し、40%以上の成長を記録しました。この成長の背景には、政府の積極的な支援策があります。具体的には、電気自動車の購入に対して付加価値税や奢侈品販売税を減免し、輸入関税を免除する税制優遇策が実施されています。さらに、国産化率40%以上の電動バイクに対しては、最大500万ルピア(約4万円)の購入補助金が設けられています。これらの政策により、消費者のEV購入へのハードルが大幅に下がり、市場拡大につながっています。また、ジャカルタなどの大都市では、EVに対する環境意識の高まりや、ガソリン価格の上昇も購入を後押ししています。政府は2030年までにEV比率を20%に引き上げる野心的な目標を掲げており、充電インフラの整備や技術開発支援も並行して進めています。
②国内外メーカーの参入拡大
インドネシアのEV市場には、国内外の自動車メーカーが積極的に参入しています。2023年には14のメーカーがEVを販売し、その約8割を現代自動車と五菱(Wuling)が占めています。これは、インドネシアがASEAN地域におけるEV市場の重要な拠点として注目されていることを示しています。現代自動車は、西ジャワ州カラワンに約1,000億円を投資し、年間生産能力7万台のEV工場を建設しました。中国のBYDや長城汽車、MG、奇瑞汽車も相次いでインドネシア市場に参入し、生産拠点の設立を進めています。これらのメーカーは、インドネシア政府の国産化政策に対応し、現地生産と部品調達を積極的に行っています。競争の激化により、EV価格の低下や技術革新が加速しており、消費者の選択肢が大幅に拡大しています。政府の支援策と相まって、インドネシアのEV市場は今後さらなる成長が期待されています。
③EVエコシステムの構築
インドネシア政府は、世界最大のニッケル埋蔵量を活かし、EV用バッテリーの生産ハブとしての地位確立を目指しています。ニッケル鉱石の採掘から精製、前駆体や正極材の生産、リサイクルまでの一貫したサプライチェーンの構築を進めており、これは単なるEV生産を超えた戦略的な産業政策となっています。国営鉱山企業のPT Aneka Tambangや、民間企業、外国投資を活用し、バッテリーサプライチェーンへの大規模な投資が行われています。例えば、現代自動車と現地企業の提携による年間10GWhのバッテリー工場建設や、中国企業との共同投資プロジェクトなどが進行中です。これらの取り組みにより、インドネシアは2030年までにグローバルバッテリーサプライチェーンの主要プレイヤーになることを目指しています。この戦略は、国内の産業高度化、技術移転、雇用創出など、多面的な経済効果が期待されており、インドネシアの長期的な経済発展に大きく貢献すると考えられています。
以上です。それでは皆さん良い一日を。