めぐみちゃん
雨の夜、高い塔の最上階に住む、一人の女性(めぐみ)がいた。
彼女はこの塔を40年間守ってきたが、その理由を知る者はいない。
きみは美しい
ぼくは待っている
きみは美しい
あの日のまま
塔の中には無数の時計があり、それぞれが異なる時間を刻んでいた。
彼女は毎日、これらの時計をめぐって、順番で針を調整していた。
はやく会いたいな
ずっと夢に見てる
はやく会いたいな
あの日のまま
この夜、彼女はふと窓の外を見た。青い鳥が、塔に向かって、何度も何度も飛びくるのが見えた。この青い鳥は、空そのものだった。
ぼくは行くよ
北へ
抱き締めたいな
あの日のように
彼女は、窓を開けて青い鳥を中に入れた。すると、青い鳥は光に変わり、彼女の前に地図を落とした。地図にはこの塔ともう一つ、遠く離れた塔が描かれていた。そして、二つの塔を結ぶ線が引かれていて、その線上には不思議な記号が並んでいた。
あの日から
時は止まっている
それでも
最後の時は迫っている
彼女は地図を手に取った瞬間、全てを理解した。この40年間、彼女が守っていたのは、ただの時間ではなく、二つの塔を結ぶ時間の橋だったのだ。
きみも行こう
北へ
会いたいな
はやく
抱き締めたい
翌朝、塔は空になっていた。時間の橋は、地球上に存在する国の時差を通して、世界を平和に導くものだった。静かだが確かに時を刻み続けている。
そして時々、その窓から青い鳥が見えることがある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?