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Mrsの新曲 ナハトムジークについて

遂に待望のMrs. GREEN APPLEの新曲「ナハトムジーク」がリリースされましたね!
個人的にはラスサビが最高!

ということで、ここでは歌詞の考察を主題歌となっている映画「サイレントラブ」と交えつつ考察していきます!

開始1秒から大森さんのどこか悲しさを感じさせる声音で始まります。

1番目の歌詞はどちらかと言うと主人公の蒼の視点に立っているように思われます。
「聲にならない」「夜の帷」といった暗い感情の中でそれでも「優しくいたい」と思い「ヘタクソに生きてる」、まるで不器用にただ生きているだけの蒼を見事に歌い上げています。
こんな駄目な自分でいいのかと問いかける箇所には不安が見てとれます。
そして、サビの箇所では蒼の本音が伺えます。
「触れ合えばわかるから 愛されたいのに
いつも通り 間違いばかりの今日をまず愛そうか あぁ理想だ」
本当は心の奥底に誰かに愛されたいという気持ちがあるのに、不器用な自分は選択を間違えてしまう。だから今日を愛するなんて自分にとっては「理想」でしかない。
見事に蒼の不器用な性格とそれ故の悩みを歌に落とし込んでいると感服します。

2番目の歌詞は主人公の蒼と美夏が出会い、苦しみながらも希望を見出していく場面とマッチします。
目が不自由な美夏の視点で「頬を擦り寄せ」ることで蒼の存在を認識すると共にピアニストになるための道を歩もうとすることは、不慮の事故にあった美夏にとっては「絶望の中の光」と言えるでしょう。

そして個人的に一番好きな歌詞が来ます。
「矛盾こそ生き抜く為の美だ」
ピアニストを目指すということは、美夏にとって何度も事故によって失った視力による不都合、不自由にぶつかりその度に彼女の「傷跡」を抉るでしょう。ですが、それでもその痛みに耐え乗り越えようとするから人生に「光」が見いだせる。
幸せになるために痛みを伴う、一見矛盾とも捉えられるかもしれない、それでもそうしてもがく姿はとても美しいものでしょう。
そして、サビに入ります。
抱きしめることで、相手の温もりを感じることは、「乱れた呼吸を整え」、自分が「愛されている」と実感できるでしょう。故に、1人ではなく2人で手を取り合うことで、前を向き理不尽なこの世界を少しづつでも愛そうとしています。

そして、3番へ
いきなり「塵みたいなもんでしょう」と中々強いフレーズが来ます。
この歌詞は恐らく2番のサビから繋がっていると推測します。この世界は僕らにとっては塵みたいなもので、自分たちが生まれる前から「勝手に積んできた」ものだから、日常か突然崩れてもそれはあなたのせいではないと励ましているようにも取れます。
「歩くのが疲れたの」は恐らく生きる上で辛いことや悲しいことは多々あります。だから疲れてしまうことは当たり前、「むしろ正常」なことなのだと疑問を投げ返しています。←この人生は疲れることはむしろ正常なんだという言い方とても好きです。

何もかもを投げ出したい、「全てを無駄」だと思っても「君は正しい」「研ぎ澄まして」と言っています。
↑この歌詞から恐らく3番は蒼が美夏を励まそうとしている場面だと思われます。絶望の中で全てを投げ出したいと思っても、ピアニストになりたいという夢を捨てきれない。そんなあなたは決して間違っていない、だから、耳を「研ぎ澄まして」。そう囁いてるのではないでしょうか。

そしてラスサビ!
1番では「強く酷く」と言っていたのが、「強く柔く」となっており、まるで相手のことを強く抱き締めつつ、相手の肌を感じることを「柔く」で表現していると推測します。
しかし、「愛」は「確かなもの」ではありません。
ここで「釦はズレていく」という歌詞がありますが、これは恐らく「ボタンをかけ間違える」という慣用句をオマージュしたものだと思われます。
洋服を着る際に最初のボタンをかけ間違えると、最後のボタンをかける際になってようやくかけ間違えていたことに気づく、なんて経験はありませんか?
そこから「ボタンをかけ間違える」は最初の方でのズレが最後になって漸く気づくという意味を持ちます。
そのため、いくら愛し合っていても相手の全てを理解することは出来ません。必ずどこかで歪みが生じます。それでもあなたの事を「愛したい、最後まで信じたい。」と相手への愛がとても強いものだと言うことが見てとれます。
また選択を「間違えて」、相手の思いや言葉の意味を「履き違えて」
そんな「不器用な」それでも相手を愛したいと思い生きていく自分たちのことを
「愛しいボンクラ」だと自嘲しているように受け取れます。ボンクラは物事に見通しが立たないことや人のことを指します(ここではおそらく人として使っている)。
先を見通せない、また美夏に関しては身体的な目が見えないことも暗喩しているのではないでしょうか。
そんな自分たちは「等しい」と言います。
僕らの関係に上下関係はなくイコールなんだと言ってこの歌は終わります。

こうして全体の歌詞を振り返ると、蒼の美夏に対する励ましやプロポーズにも近い愛を歌った歌としても聞けますね!
「サイレントラブ」の公開日は1月26日からの予定です。興味がある方はナハトムジークを聞いた後に観に行くとより映画への関心が広がると思います!

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