24-23

もう20年近く前の話。
先生との思い出は鮮やかで、色褪せていない。
というのは、大きな勘違いで、たくさんの事を忘れ、自分の都合のいいように脚色してしまっていると感じる。

高校を卒業してからの日々の事は、先生からの手帳に書き留めていることが多い。
読み返すと、すっかり忘れてしまっていた事ばかりで、自分がこんなことをしたり、言ったり、聞いたりしていてビックリする。

そして、先生に相変わらず迷惑ばかりかけていたこと、そのことに対してきちんと感謝の気持ちを伝えていなかったこと。
そんな後悔ばかりしてしまう。


先生に出会ってから、3回目の春。
私は地元を離れて、隣の県に引っ越した。
私の新たな生活での目標は
「先生の事ばかり考えない」

新たな環境に、不満があったわけではない。
いい友達もできて、学生生活は充実していた。
なのに、やはり考えるのは、先生の事ばかり。
それがつらくて、苦しかった。

先生に、毎日会いたい。話したい。
その願望は、どうやっても消えなかった。
それが叶うのは、「高校生」という立場の人間だけで、私にはどうにもならないこと。
そのことを、ずっと悶々と考え続けていた。

4月半ばごろ学校が始まったというのに、早くもゴールデンウィークがあり、私は地元へ帰った。
地元や実家への恋しさは、一切なかった。
私が帰省する理由は、先生に会いたいから。


手帳を見ると、この連休の間に先生に2回会いに行ったらしい。

何を話したか、どこで話したかなんて、すっかり忘れてしまっている。

先生の話を聞くのが楽しくて、うれしくて、仕方なかったのがよくわかる。

そして、毎日でも会いたい私にとって、また会えない日々の始まりがとてもつらく思っていたのもよくわかる。


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