25②

卒業式は終わっても、進路は確定しておらず、3月31日までは、私の身分は高校生だった。

2月末にあった試験の結果は、卒業式後にあった。

その日は確か、午前10時に発表があった。
直接見に行けない場合は、短大の時と同様、レタックスを待つのが一番早かった。

まだインターネットでの発表は一般的ではなかったのだが、もしかしたら見られるのではないかという情報があったのだったか、私はずっと画面を開いていた。

1時間後の、午前11時。
ホームページに合格者の受験番号が発表された。
私の番号が、あった。

私は、高校へ向かった。

今回は担任がいて、報告をした。

先生には、何と報告したのだっただろう。

確か「東京に行くんじゃないんか?」と冗談混じりに言われ、大学生活、何をしたらいいかと尋ねたら、「研究室へ行け」と言われた。


先生の言葉は、私の心に響いた。

受験校を迷っている時だっただろうか。

「人にやらされた、と思うのではなく、自分で選ぶのが大事」

と言われた。

すごく、当たり前のことだ。

でも、それを言葉として聞いたのは18年の人生で初めてで、今もこれが私の座右の銘。

私が先生のことを好きだから、ずっと残っているのだとしても、その言葉のおかげで私の今がある。


進路が決まり、私も新生活に向けた準備にとりかかった。

それでも、「高校生」という身分を利用して、しばしば高校に行った。

もちろん、先生に会うために。

先生は、1年生の副担任だったが、進路が決まっていない生徒の小論文を添削したり、忙しそうだった。

そして、そんな生徒を相変わらずうらやましく思いながら、先生とは違う場所で始まる新生活の準備を進めていった。

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