26②

2月24日。
私は受験のため、電車に乗った。
そして、初めて今も住む県に降り立った。
行く前に、先生と何か話したんだっだろうか。思い出せない。

翌日、試験を受け、地元に戻った。

その翌日、試験が終わった解放感と疲労で、学校には行かずに家にいた。
午後、何時ごろだっただろう。郵便が届いた。

まだインターネットの普及が発展途上だった頃。
その郵便は、レタックスというもので、東京の短大の合格者の番号が書かれたものだった。
前日までのことで、この日の発表などすっかり忘れていた。

番号を探すと、合格していた。
合否がわかったら、学校に報告することになっていたため、私は慌てて制服に着替え、高校まで向かうバスに乗った。

もちろん、すぐに先生に言いに行きたかった。
でも、それでは筋が通らないことはわかっていたので、先生のいる2階職員室ではなく、担任のいる3階職員室へ向かった。

職員室で担任の姿を探したが、いない。
他の先生にも尋ねたが、わからなかった。

私は、2階職員室へ急いだ。
入ると、先生がいた。
「短大受かったよ」と言うと、先生は「おめでとう」と言って、右手をさしのべてくれた。
私も、右手をのばして握手をした。

私が唯一、先生に触れたとき。

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