バニラさまを読んで

山本文雄さんは『自転しながら公転する』を読んで以来ずっと好きな作家さんでした。ふとした一文の威力が強い作家さんです。

今作のバニラ様は6つの短編集でした。街に沢山いる量産型の女の子たち、私たちがわかったつもりで分類している彼女たちの内面を丁寧に描いています。
小説のほとんどは日常の描写を短くまとめてしまう事が多いです。しかし、山本文雄さんは一般人の日常の描写に1番力を入れて書いています。特別では無い一日を捉え直すことのできる一作でした。

今作の表題作バニラ様に出てくる一節

真っ白で甘くて、でも少し冷たいバニラアイスのような彼女

味覚、触覚、温感、色覚、嗅覚をバランスよく一文に込められる山本先生に脱帽です。

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