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京都の伝統漬物 無添加丸すぐき漬け

初めてすぐき漬けを食べたのは、築地の漬物問屋で働き始めた頃でした。
まだまだ漬物の知識などなく、11月も終わりに近づきお客様も問屋側も何となく高揚していて忙しなく感じている頃です。
見た目の第一印象は”しょっぱそう”。
夏場は生野菜そのままの色が美しい浅漬け商品が多く、シャキシャキとした歯応えや薄味が特徴的でしたが、すぐきは色も全体的に暗く”濃い味”を連想させられます。

その頃からすぐきと言えば高級漬物だったのですが、流石は築地の漬物問屋。おしげもなく味見を切っては従業員に食べさせてくれます。
荒々しくぶつ切りにされたすぐき漬けを一口。
まずは蕪の部分から。

遅れましたが、「すぐき」とは京都の伝統野菜で蕪(カブ)の一種です。
根先に向かって細くなり、矢じりの様な形をしていて、葉は長く味もいいので蕪と一緒に漬けられます。
漬け方は塩漬け。樽に並べ入れ、たっぷりの塩を振り、重しで水を抜き発酵させます。

蕪はしっとりとした舌ざわり。
保存食としての用途から、しょっぱい!と跳ね上がるかと思いきや、製品になる前に脱塩しているんですね。
製品の塩分は約4%で、浅漬けの塩度とあまり変わりません。
それよりも、あまり古漬けを食べつけない私にとって乳酸発酵の酸味が強く感じました。
「うわっ!酸っぱい」ちょっと苦手かも、と思うくらい。

何が旨いのか分かりませんでしたが、「これ旨いんだよなぁ」と買って行く料理人を見て、もう一度トライ。
今度は蕪を薄切りにして葉と一緒に食べてみました。「旨い!」
葉の香りや塩気の無さが蕪の酸味を和らげてくれます。

個人的にはお酒ではなく、ご飯と一緒ですね。
京都ではお茶漬けにすることも多いそうです。

最近では酸味料や旨味調味料を添加する商品もありますが、それは生産効率を上げて安く作るためにしている事。
確かに、昔ながらの作り方のすぐき漬けは高いと思います。
そう思いますが、出来ればそちらを食べて頂きたい。
味の深み、香り、何より健康的!是非お試しください。

当店でも「丸すぐき漬け」を扱っています。
興味がありましたら覗いて行ってくださいね!

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