がしょう

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静電場の多重極展開

静電場の多重極展開を導出します。 準備ルジャンドル多項式の母関数表示を使います。 $$ \dfrac{1}{\sqrt{1 - 2zw + w^2}} = \displaystyle\sum_{n=0}^\infty P_n(z)w^n $$ これはロドリゲス公式から導出できますが、これをルジャンドル多項式の定義としてもいいです。左辺は例えば電気双極子を置いたときの静電ポテンシャルを計算するときに出てきます。 多重極展開観測点$${\bm{r}}$$における静電ポテ

    • 統計力学でよく出てくる積分公式

      統計力学を勉強していると出てくる積分公式がなんかよく出てくるので、まとめます。 公式1$$ \displaystyle\int_0^\infty \dfrac{x^n}{e^x-1}dx = \Gamma (n+1)\zeta (n+1) $$ 格子振動のところで出てきます。分母を無限等比級数が計算されたものと考えて等比級数に戻し、積分と無限和を交換し、変数変換すれば、計算できます。 公式2$$ \displaystyle\int_0^\infty \dfrac{x^n

      • Bose理想気体、Fermi理想気体の大分配関数および分布関数の計算

        Bose理想気体、Fermi理想気体の大分配関数と分布関数をゆっくり計算します。 大分配関数の計算準備 まず、大分配関数を定義通り計算します。この計算はBose気体、Fermi気体のどちらの場合についても、成り立ちます。状態は、それぞれの1粒子状態の占有数を指定すれば決まります。 $$ \Xi = \displaystyle\sum_{n_1=0}^\infty \displaystyle\sum_{n_2=0}^\infty \cdots \exp \left[ -

        • 【高校数学】なぜベクトルの内積をabcosθで定義するのか2

          前回↓の続きを書いていきます。 前回、内積を$${ab\cos\theta}$$で定義する理由として 理由1 成分表示したときの表式が綺麗 理由2 座標変換したときに値が変わらない を挙げました。が、もっと大事な理由がある気が前回を書き終わった後にしてきたので、それを理由3として、まずそれを書いていきます。私は数学科でもないので、数学にさほど明るいわけでもなく、変なことを書いているかもしれませんが、よろしくお願いします。 では早速始めます。 理由3 "積"として成

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          【物理数学】ガウス積分の公式まとめ

          この記事では物理で出てくるようなガウス積分の公式をまとめていきます。 1 $$ \displaystyle\int_{-\infty}^\infty e^{-\alpha x^2} dx = \sqrt{\dfrac{\pi}{\alpha}} $$ 基本のガウス積分の公式です。 2 $$ \displaystyle\int_{0}^\infty xe^{-\alpha x^2} dx = \dfrac{1}{2\alpha} $$ この積分はすぐに直接原始関数を

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          【高校数学】なぜベクトルの内積をabcosθで定義するのか

          この記事では高校生向けに高校数学についてちょっと語ろうかなと思います。 高校数学で最初にベクトルの内積が出てくるのは平面ベクトルを習っているときでしょう。そこではまず二つの平面ベクトル$${\bm{a}}$$と$${\bm{b}}$$に対して内積を $$ \bm{a} \cdot \bm{b} = ab\cos \theta $$ と定義します。ここで$${\theta}$$は二つのベクトルのなす角です。習ったとき最初は突然こんな定義が出てきて困惑するのではないでしょう

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          【量子力学】位置表示波動関数と運動量表示波動関数の行き来を自由に

          位置表示の波動関数はよく使いますが、運動量表示の波動関数も使うと便利になることがあります。本稿ではその二つの表示の間を自由に行き来できるようになることを目標とします。本稿での議論はJJサクライ現代の量子力学§1.7を参考にしています。 簡単のため、一次元の運動を考えます。運動量演算子を無限小平行移動の生成演算子として定義すると $$ \hat{p}\ket{\alpha} = \displaystyle\int dx' \ket{x'} \left( -i\hbar \d

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          ベクトル解析の公式の覚え方を提案します

           この記事では、大学の電磁気学などで出てくるベクトル解析の公式を覚えられない人向けに覚えるためのコツをとりとめもなく書いていきます。ここで扱う公式は全てGriffithsの"Introduction to Electrodynamics"の1.1および1.2のセクションで取り上げられているものです。公式の証明の詳細には立ち入らないので、ご注意ください。 スカラー3重積 $$ \bm{A} \cdot (\bm{B} \times \bm{C}) = \bm{B} \cdo

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          なぜ相対性理論により同時性が破綻するのか

           ここでは、特殊相対性理論を知らない人向けに簡単にこの理論の概要を説明した後に、同時性の破綻という直感に反する現象を説明しようと思う。  1905年に発表されたアインシュタインの特殊相対性理論は現代物理学の基礎を成している。相対性理論といえば、特殊相対性理論と一般相対性理論がある。理系ではない人の考え方からしたら、「特殊相対性理論の方が一般相対性理論より難しのでは?」と思うかもしれない。これは実は逆で一般相対性理論の方がとても難しい。実際、一般相対性理論が発表されたのは19

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