半笑いのバス

今日は10月27日。
私は今日もバスに乗る。

このバスはいつも無表情だ。いつも真面目に私のことをおろす所まで運んでくれる。もしかして...たのしくないのかな。考えてもわかんないから、鼻歌を歌った。たのしいな。たのしみだな。
ガタンッ
バスがゆれた。どうしたんだろう。
私は気になって窓から顔を出して前の方を見る。なんか変な笑い方をしてるバスの顔だった。笑ってる理由を聞いたら、私の鼻歌がヘタクソで笑っちゃったんだって。初めて見たバスの表情が半笑いで少しバカにした感じだったのは許せない。
私もバスの中でジャンプしてゆらしてやった。
ゴトンッ
バスはびっくりしてゆれていた。私もさっきバスがしてたような半笑いの顔をマネして笑ってやった。バスは「そんなに怒んないでよ」って少し笑ってる。
ねぇねぇ、今日はどうしてそんなに表情がかわるの?
「知らん。教えない。」
あなたはこんなにイジワルだったの?ひどい。そう言って口をぷくーってふくまらせたら、「今日はご機嫌だな」って言ってくる。嫌なことをしておいてそんなことを言ってくるのはひどい。
今日はご機嫌じゃないもん。「でも、鼻歌を歌ってたじゃん。」たしかに鼻歌歌ってたけど。「今日はどこに行くんだ?いつもと同じ場所でいいのか?」

ままの所で、と言われる。

私はままに会いたいから毎日バスに乗って行ってるんだ。いつもはままを眺めるだけだったけど、今日はままに触れてもいいし、抱きしめてもいいんだって。ままが言ってたの。本当にままに会いにいけるの。ままも早く会いたいって言ってた。
「幸せなにな。」
バイバイって手をふって私はバスからおりた。

私は早くお母さんに会うために走る。

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