見出し画像

京都企業の魅力 その①「金属に”命”を吹き込むー株式会社草川精機」

■ 訪問背景
個人的に進めてきた京都企業研究において、京都の中小企業優良企業表彰という取組みを発見し、その中で株式会社草川精機のものづくりについて興味を惹かれたので、精密機械部品の製造を中心とした事業の面白みについてヒアリングすべく訪問させていただいた。
 
■ 工場見学
製造課の原田課長にご案内いただき、工場内を見学させていただいた。工場内はすっかり分業されており、5Sも推進されていることから、とても整然としている印象を抱いた。熟練工にしかできなかった加工技術を徹底的に標準化し、若い世代にも技術を継承されている様子がリアルに体感できた。
 
■ 加古社長とのディスカッション
まず、加古社長のパッションに圧倒されてしまった。さすが創業家以外から初の社長就任者というだけあって、その情熱と人の心を動かす説得力は秀逸で、これがこれからの京都を引っ張っていく新時代のリーダーだという強い印象を受けた。主な議論内容は以下である。
 
①京都スタートアップとの協業について
草川精機では、他の競業他社が真似できない加工技術を有している。そこに目を付けたスタートアップから、世界初の「動く物の重さをはかる技術」に基づく「走行車両重量計測システム」をつくらないかというオファーがあり、実際に西日本で800台以上製品化している。これは、京都高度技術研究所より、優れた事業計画により積極的に経営革新に取り組む中小企業として「オスカー認定」されている取組みである。
 
②事業継承について
草川精機では、代々草川家が社長を務めてきていたが、先代の草川社長(現会長)があるとき、当時事務員であった加古さんを呼び出し、「これからの草川精機をどうする?」という問いを投げかけてきた。加古さんは一晩考えた末に、「社員から社長を輩出する」という選択肢であれば自分は貢献できると答えたという。「じゃあ何年かかる?」との問いに、「少なくとも5年はかかる」と答え、実際にそれを実現してみせた。これがトップになる人の意思決定、有言実行というものなのだと感銘を受けた。
 
③人材育成について
加古社長が一貫して取り組んできた会社変革の中で、一番印象的だったのは、「人材育成」である。変革を起こすためには「制度」と「風土」を両輪で変えていかなければならないというビジョンのもと、「風土」を改革するための研修と面談を繰り返し実行していったという。初めは反対意見もある中で、粘り強く草の根で活動し続け、最終的には社員から自発的に「研修はご褒美」と言われるぐらいまで浸透させた。この「教育」というベースが、中小企業に求められている普遍的な課題だと自身の原体験から感じていたという。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?