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【詩】気配(けはい)

しわだらけの欲が歩いている
凍える寒さに吐き出された息の中を
噂話で満ちた外耳道の淵を
ときどき よろけたりもして
グレーの濃い部分があり
光のかげんによっては白く見えるところもある
時に見失うこともあるのだが
小さな眼を光らせて
十年前の古びたドライフラワーのようで
いじましくも見え
それは妄想と似ているため
10の下に赤い9が来て
そこで初めて10が黒と知る
空に浮かぶ下弦の月のもと
攻撃的にならざるを得ない
「人たち」の匂い
欲望は折り紙のように薄く
軽いからこそ知っている重力の罠
しわの中でも深いしわが
辛苦しんく懺悔ざんげの真実の空虚
一緒に歩いていくには
小刻みな震えが笑顔に過ぎる
そんなふうに小鼻の横には
わたしは幸せものよと書いておけばいい

甘ったるいホイップクリームだからこそ
記憶に残る日々
牛革の大きな肩掛けバッグの中には
堕胎だたいされた血まみれの後悔が眠る
大声で笑う
もう消えてしまった時間の
悲しみのように

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