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酒に酔えぬ不幸


酒の不幸といえば、酒に酔う・呑まれる様が注目されがちだと思う。
酒を呑んで嫌なことを忘れるとか、酒に依存することの危険性が取り正される世の中になって、「お酒の飲み過ぎをやめたい」っていう悩みを口にする人もよく見る。

でも、私は酒に酔えぬ不幸もあると思ってる。

酔えぬ不幸

私は酒に酔えない。強くはない。むしろかなり弱くてすぐに頭が痛くなるし、顔も赤くなる。

でもシラフだ。酔った気分や高揚感、理屈のない楽しい心地が全くない。私にとって、酒は頭痛を引き起こす可能性の高いジュースみたいなもんである。

酒に酔えないのだから、酒に依存することも呑まれることもない。ないから酒で問題を起こすこともないからヘルシー。
果たしてそうだろうか。


酔えることがきっと羨ましい

個人的に、酒と恋は合法麻薬みたいなもんだと思ってる。
正気を失ってできる、トリップできる合法の麻薬。きっとそれには退けがたい引力があって、だからみんなやってるし、娯楽として推奨されてると思う。

私にはどっちもない。厳密にはほぼない、か。
その有様が、なんだか自分の人生のようでたまに虚しい。
いつでも後先を考えて計画立てて行動したがる。だから割合うまくいくし、側から見ればそつなくこなせる事も多い。
でも予想外の喜びとか、強い楽しみもあまりない。

常に正気でシラフ。享楽的になったり、衝動的になったりできない。私はきっと自分の意思で正気でいたいし、正気を手放せない。
でも、常で正気でいるなんて、人生楽しくなくないか。生きる甲斐になるような、麻薬のような喜びを制限されているように感じる。


私は自分の意思で正気でいたいのだろうし、享楽的で快楽主義的な行動は怖くてできない。
酔えない。酔っ払えない。

酒にも恋にも幸にも不幸にも酔えやしない。
いつだってシラフで正気。
でも正気のまま生きるだなんて正気の沙汰じゃない。

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