古田メロンは私のケーキ。

古田メロンという名はなかった。純系高松を古田のおばちゃんが40年間種取りしたものをゆずりうけたので、その功績を讃えるために私がつけた名である。

古田メロンを作れば良いのではない。純系アールスメロンは実はたくさん種類がある。菊の裏作に始まる渥美半島では、その夏系品種が次々と名を挙げる激戦区。なかでも高松はうまかったと渥美の農家はいまも語る。ところが、製品は金になるので売ってしまい、クズ玉に砂糖をかけて食べるなど、素材の吟味がなされていたか疑問が残る。

洗いざらいするため、さまざまな純系アールス、はたまた世界中のメロンを4年かけて数十種類経験してわかったことがある。

品種はベースなのだ。

なのでエッセンス程度と考えればよい。そのエッセンスをより引き出すのかどうか。まさにケーキづくりのようなものということがわかった。

糖度だけでものを見ると非常に世界が狭く。井の中の蛙となるだろう。

すべてを極めることは寿命が足らないが、経験やカンからこれと睨んだものは研究の余地があり、ついには私のケーキとして世に誕生させることができる。

古田メロンを作れば良いというのは純系メロンを知らない人であろう。良くも悪くも味のコントロールが効く純系メロンをベースとしてつくるのが私のケーキなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?