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図書館に訊け!(井上真琴) 要約

注意

本記事は、音声入力を用いた読書記録をもとに記述されている。そのため、誤字脱字、空白、不正確な引用が多分に含まれていることを留意すること。

書誌情報

図書館に訊け!

井上真琴著

(ちくま新書, 486)

筑摩書房, 2004.8

要約


はじめに


図書館を使いこなすのは難しい 等身大のままでを使ってみる

第1章 図書館の招待と図書館への招待



1 図書館が傲慢なる理由
図書館側の論理ですべてが区切られているから
→図書館側の論理が利用者に教えられない

図書館を使いこなすための5箇条
・ベースキャンプとなる図書館を決める
・多様な資料の世界を知る
・目録の本質を知る
・ レファレンスブック(参考図書)の利用覚える
・分からないことがあれば図書館に聞く
→ 利用法を教えてもらっていない利用者は利用法や管理法を専門に学んだ人を徹底的に活用すべき

2 図書館の存在意味とは何だろうか
新刊書店 マーケットに流通している本 本しか入手できない
図書館は書店にない本を読める

古書店でも必要な文献がない時がある
図書館は必ずいつか読める

図書館は調べ物をするのに圧倒的有利な存在

3  図書館にはいろんな種類がある
公共図書館
学校図書館
専門図書館
国立国会図書館(c.f NDL入門編集委員会『 国立国国会図書館入門』三一書房 一九九八)
大学図書館(学術研究を支援する)

前提として学術研究の2大重要性
  1まず先行研究がないことを確認する
 2.研究のこれまでの最新成果、立脚点を把握する

野口悠紀雄『フローとしての個別知識はいつでも学べるけども、それを評価するストックとしての知識の体系は、一つの学問体系を系統的に学ぶことによってしか身につかない』(「超」勉強法)

第2章資料の多様性と評価の視点を知ろう


1  図書館は資料のセレクトショップ
資料は図書館毎の理念に基づいて、評価され選択される

2 多様な資料の世界を除く―灰色文書を中心に
灰色文献=非売品や自費出版など非流通本  本屋で変えない
Ex.白書 年間統計 機関史、文化財調査報告書、市町村史、学位論文、学術会議記録、研究成果報告書類、官報、国会議事録、法令 、個人の追悼録、紀行(大学発行につきピンキリ)

3  学術雑誌の世界を知る
査読制度による信頼性 専門知として最上流

4  どのように選んでいるか―手にした資料の外的評価
・図書の項数と大きさ
・目次構成
・索引文献目録の充実度
・初出の掲載誌のレベル
・注の付け方
・図表の典拠 充実度
・ 出版年、改版改訂の頻度
・付録や新機軸
・著者の信頼度
・出版社の実績、編集者の実力

第3章 どうやって 資料にたどり着くのか


1 目録と書誌情報の世界
目録=特定のものと他のものと区別し、個性を持った一つのものとして定義するために不可欠なもの
目録の本質= 評価ポイントが提示される
→目録通じて 分類のポイントを理解する

図書館の目録=ある特定資料の性質とその所在を確認する情報も記入したもの 情報を守る器の部分
書誌情報・所蔵情報 (重要)=資料の性質を示し、他の資料と識別するための項目 所蔵場所を示す項目  

2目録の見方、使い方の実際
OPACで検索 書誌情報をもとに大きく絞る 
ex.最新の科学分野→年号新しい&引用頁多い →選択!!
検索手法 cinii books NDLOPAC  OOCLworldcat

3本の並べ方にも意味がある
日本十進分類法 

第4章どうやって資料にたどり着くのかに


1 文献探索情報探索の基本
探索の基本ステップ
①位置調べたいトピックが何であるかを決める
②調査対象のトピックの基本情報と背景情報調べる
概説書やレファレンスブックを利用 キーワードの抽出
③目録や書誌を使って関連主題を扱った図書がないか調査する
④雑誌記事索引を利用して関連主題を扱った雑誌論文や雑誌記事を探索する
⑤統計や図書・雑誌以外のファクトデータを調べる
⑥インターネット情報や視聴覚資料を調査
⑦集めた資料を評価して利用する
⑧利用した資料の典拠を記述する

探索作業の二つの方法
A芋づる法:重要度を測る
これだと思う文献を参考文献として引っ張っていく
利点 内容の重さが測定できる 文脈が理解できる
欠点 偶然性に支配される →漏れが発生する

B索引法:系統的・網羅的に手繰る(推奨)
レファレンスブックを利用して探索する

2 レファレンスブックの利用
レファレンスブック=参考図書
最初から最後まで読むのではなく調べるために必要な部分を参照

レファレンスブックの系統
①事柄を調べる
②文献を調べる

3 事柄を調べるためのレファレンスブック
まず百科事典を調べること
鉄則① 索引から引く
鉄則②複数を聴き比べる
∵解説事実の違い 辞書の認識体系を見る

4 文献を調べるためのレファレンスブック
目録書誌雑誌記事索引
① 目録 3章参考
② 書誌
=文献目録文献リストの類
所蔵情報のない文献目録
2次資料の中でも特定の基準で選ばれた資料を一定の列挙方法で一定の記述方法に従って探索しやすいように配列したもの
③ 雑誌記事索引
=雑誌に掲載された論文をテーマ別に網羅的かつ迅速に探し出すためのリファレンス
代表例
  国立国会図書館編集 雑誌記事索引
 MAGAZIEN PLUS 大衆範囲も網羅
 大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録

「思いついたキーワードコンピューターに入力 しさえすればコンピューターが的確な情報を探索してくれるという誤解を蔓延させてはならない 」

5 実際の探索プロセス(文学)
調べ物の基本はまずレファレンスブックを 探して利用する
① 辞典の活用と内容吟味
百科事典で共通事項、特定の事項、齟齬のあった部分を記録。
専門辞書 も使う
②目録書誌雑誌記事索引で参考文献目録を作成する
何百かにのぼる文献をリストアップさせ、絞らせる。
それをもとに目次を作成させて、どの章に論文を引用するのか決める
③ 作品の使用テキストをどれにするか決めさせる
④自学の図書館になかった資料はどれか明示させる
⑤年譜の作成と参照
「年譜はたいてい齟齬がある」
⑥作品中の言葉の用例も調査させる

「レファレンスブックでわかったことは終わりではなく始まりであって、
ようやく調査のとば口に買ったレベルにすぎないことを思い知るべき」

第5章レファレンスサービスを酷使せよ


1 物を利用するのではなく人を利用する
レファレンスサービス=利用者の調べものに対し図書館員が援助する人的資源サービス
自分の抱えている問題、求めている情報をインタビューやヒアリングを通して、徐々に整理し明確な輪郭を与えてくれる。そして網羅的で体系的な調査方法を導く方途を与えてくれる

2 レファレンス相談の風景

3 レファレンスサービスの舞台裏
レビュー文献の重要性
∵その主題領域における最新成果、研究状況を把握する文献を見つけ出すことが大切

①講座もの
=これまでの学問的成果を一定程度整理して示し次の段階への足がかりを作ることを意図した出版企画
特定領域の学術研究成果と学説の生れ出た経過、評価すべき業績について簡潔にまとめてある
→未知の領域に入るときに重宝
※ 別巻、付録に要注意  ∵参考リストがまとめられがち
②博士論文 先行研究の流れおよび批判評価
③国立国会図書館の柵隠れた参考文献
参考書誌研究国立国会図書館月報レファレンス
④ 学者の自伝
⑤ムック形式の研究ガイド
学問がわかるシリーズ 法学セミナー4月 単行本の研究ガイド
⑥講義概要・シラバス
⑦児童書
ちくまプリマ― 岩波ジュニア

第6章資料は世界を巡り利用者の世界をめぐる


1 相互利用サービスを活用する―訪問利用・現物貸借・文献複写
ホームに所蔵されていない資料への対応→相互利用サービスの利用
①訪問利用 他館に直接出向いて閲覧させてもらう
②現物貸借 資料を対応してもらい一定期間閲覧させてもらう
③文献複写 数千円レベル
ILL サービス =現物貸借+文献複写

2 外国の図書館に出陣する

終章 電子情報との付き合い方


1電子情報に対する図書館の対応
実践女子大学図書館『インターネットで文献検索』https://biblioguide.net/inet2022/

2 
 図書館を良くすること、限界を知ること
利用者がモチベーションをもって利用し、図書館に問いかけないかぎり、図書館は良くならない

「図書館利用で得られる情報など結局は研究の前段階レベルに過ぎない」

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