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アングラの王子様 あとがき

アングラの王子様、4か月という長い間、ご愛読いただきありがとうございました。
急に終わるの?と思われる方も多いかもしれませんが、この話、実は短編小説として初めていまして、これまでの話と同じように1ヵ月ぐらいで終わるつもりだったんです。
もともとは「私、地球側の人間です」という世にも奇妙な物語的なSFチックな短編小説のキーマンである「今井トウマ」の隠された能力を描こうと思って書き始めました。
ところが書いていくうちにテーマがどんどん肥大化してしまって、自分でも収拾がつかなくなってしまったというのが実態です。
結局、「今井トウマ」がどんな風に世界を救うことになるのか、その秘密に迫ることはできませんでした。

というわけで、「あとがき」だなんて偉そうな題名をうたっていますが、実際は謝罪と弁明に近いです。
さらに付け足せば、弁明を小説の中でしようかと思っていたのですが、そうするとさらに長くなりそうだったので、ここらで一つ、区切りをつけようかと思って、この記事を書いています。

さて、先程も述べた通り、今作は様々なものをテーマとしてきました。
例えば「演じる」ということ。
それは舞台の上だけでなく、日常生活の中で誰しも自然に「演じている」ということを描きたいと思い、演劇サークルを題材としました。
唐沢マリンが顕著な例です。
彼女も「唐沢マリン」であることを演じているはずです。
そういう意味では、演劇サークルのみんなよりも演技派といえるかもしれません。
今井トウマもまた、「今井ホールディングスの御曹司」であることを演じさせられてきました。
それを脱却するためのヒントを演劇ということに求めていたのが今井トウマです。

他にもマスコミやSNSなどが発信する根も葉もない噂話にどう立ち向かうべきか、ということも題材としました。
これは当初の予定ではなく、アングラを書いているうちに、そういうものについて言及したいという欲が出てきて、(多分ニュースか何かを見て釈然としなかったんだと思います)その気持ちをアングラに落とし込みました。
その結果、柄にもなく長くなってしまい、全体の纏まり感が無くなってしまいました。

ここまでお付き合い頂いてる方には薄っすらばれているかもしれませんが、私が書いている小説にはプロットのようなものがありません。
起承転結も最初に考えているわけではなく、行き当たりばったりで、こんなことが起きれば面白いんじゃないかな?とか前書いていたことと辻褄を合わせるにはこういう説明がいるなとか考えながら1日1本1000文字程度書いている状態です。
だから、急にとんでもない展開が起きたり、それをもっともらしく説明するシーンが描かれたりするわけです。
こういった手法は、短編小説には有効かもしれませんが、10万字を超えてくる今作には不向きだったのかもしれない、と反省しています。
とはいえ、働きながら本格的な長編小説を書くことは困難を極めているので、今後はできるだけこじんまりとした短編小説を書きたいと思っています。

そんな反省とも懺悔ともつかない文章を書き連ねながらも、なんだかんだと言いながらアングラの王子様に愛着があります。
短編小説を書きながら、じっくりと構成を練って(そんな大層なものは練れませんが)続きを書いていきたいと思っています。
それが数か月後なのか数年後なのか分かりませんが必ず書きたいと思います。
短編のスピンオフになるかもしれないですし、長編でその後を描くことになるかもしれませんが、その時はお付き合いください。

最後に、アングラの王子様、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
また、次回作でお会いしましょう。

松本脩でした。

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