4日目・5日目(雨のち晴れ)30代夫婦ヨーロッパ珍道中


4日目 朝からランニング


海外で早朝ランニングをする。日本から固い決心をしていた私は、朝5時に起きて新市街側へとランニングをした。汗はかくものの少し肌寒い。しかも小雨の中を走らねばならなかった。朝から気持ちの良い汗をかいたつもりだったが、これが後々の体調不良を引き起こすきっかけになったのかもしれない。海外で過ごす場合は『余計な体力は使わない』ことを強くおススメする。

サンドイッチのモーニングから旧市街へ


午前9時ごろ。そろそろ腹が減ってきたので外食することに。近所に韓国人が経営するカフェがあったのでそこで朝食をとった。なかなかのボリュームで美味しかった。その後、旧市街へ徒歩で向かう。
道中の宝石店に妻がつられるように入っていった。明らかに高そうな店。中には髭の生えた怪しいおっさんが二人。
よく入るなぁと思いつつ、無理矢理買わされないように私はあえて店の外で待つことにした。しばらくすると妻が出てきた。「めっちゃ高かった。なんで入ってこなかったの?」と聞かれた。呑気な妻の問いに答えることなく私たちは旧市街に入った。

セックスマシンミュージアムへ


旧市街に入った我々が向かった先は『セックスマシンミュージアム』。Googleマップでたまたま見かけて「行こう」という話になった。プラハまで来て最初の観光地がここというのも情けない。しかし、興味があるので仕方ない。
ミュージアム内は世界各国様々な性器具が展示されていた。「はぇ~…」と感心しながら展示物を見て回る。ミュージアム内は我々のような男女であふれていた。特に白黒で撮影されたポルノ上映室は満員であった。すました顔をしてみんな興味があるのである。
展示品はヨーロッパ中心であったが、日本のものもいくつか展示されていた。特に男性の象徴を模した神輿は目立つところに展示されており、海外の女性が先っぽに触れつつ笑顔で写真を撮っていた。なんとも言えない気持ちでミュージアムを後にした。

教会巡りと歌の公演


ミュージアムを後にした私たちは再び旧市街をぶらぶら。有名なカレル橋へと向かう。異国情緒漂う町並みは見ていて楽しいものであった。
カレル橋周辺にはいくつかの教会があった。中に入ってみると荘厳な作りで非常に見応えがあるものであった。その教会で今夜、歌の公演があるらしく妻が「行きたい!」と強く訴えてきた。プラハ城を見る以外には特に予定もなかったため予約をすることに。

案内してくれたおやじは愛想が良く、「ここが一番良く見える席だ」と案内してくれた。案内されたのは舞台正面から斜め前の席。通常だとあまり良く見えない席であるが、「今回は正面の舞台で歌わない。すべてテラスで行われるんだ!そして、この席だと2階のテラスが一番よく見える!VIP席だよ!」おやじが自信をもって勧めてくれた。
おやじは背が小さい妻に「学生かい?」と尋ねた。違うと答えたが、「せっかくだし学生のチケット代でいいよ!」と割引もしてくれた。この国にも良いおやじがいるものだ。おやじに案内された売り場でチケットを買う。
 
余談ではあるが、チケット売り場の女性は驚くほどにセクシーであった。オーストリアやドイツの女性はピッタリとした服装を着ている人が多い。身体のラインが強調される為、ボンキュッボンがはっきりと分かった。「めちゃくちゃセクシーやったね。さっきの女の人!」。教会を出た我々は邪淫にまみれた話題で盛り上がった。神聖な場に不謹慎な言葉を残しつつ、私たちは教会を後にした。

カレル橋と美男美女


さて、我々はいよいよ有名なカレル橋を渡る。事前にひったくりに注意!という話を聞いていたので、妻にも用心するよう伝えて橋を渡る。途中にはいくつもの立派な銅像があり見ごたえがあった。
橋を渡っていると妻が「写真を撮ろう!」と提案してきた。私が自撮りで二人が入るように撮ろうとすると、「ほかの人に撮ってもらおうよ」と妻。つい先ほど、ひったくりに注意と伝えたばかりである。そのことを再度伝えると、「観光の人だったら大丈夫そうじゃん」とまた呑気なことを言い始めた。私はその意見を却下して自撮り形式でとることにした。「ほかの人は撮ってもらってるのになぁ!」妻は少しふくれっ面になった。

橋を渡り終えたころ、昼を過ぎていたので昼食をとることに。私たちはメイン通りから少し外れたところに見つけたイタリアンに入ることにした。店員に声をかけると、店内かテラスかを聞かれてテラス席に座らせてもらうことに。
案内してくれたのはまるで人形のようにきれいな女性。その後、注文を取りに来てくれた男性もびっくりするほどのイケメンであった。二人とも気持ちの良い接客をしてくれた。プラハでも若い人たちは愛想が良いらしい。
さて外食のたびに問題になるチップ問題。これについて、妻が「これでいいんじゃない?」とスマホ画面を見せてきた。google翻訳で「○○ユーロ払います。美味しかったです。ありがとう」と入力されたものだった。
これを採用。スムーズな会計をすることができた。google翻訳の使い方を覚えたので、少し頼りになってきた妻であった。

プラハ城の階段で地獄を見る


昼食後、私たちはプラハ城へと向かった。途中、土産物屋が軒を連ねておりふらふらと何軒か物色しながら進んだ。
さて、googleマップ上ではプラハ城に近づいたものの、どこから入っていけば良いか分からず行き詰ってしまった。私がマップとにらめっこをしていると、観光ツアーの集団が横を通り過ぎた。「あれについて行ったら入口にいけるよ!」と妻。何の根拠もない。
しかし、ほかにあてもないので不審者のようにこっそりと後をついて行くことにした。そうすると、プラハ城へ向かう道らしきところに到着。えっへんと誇った妻の顔が少し癪だったが、今回ばかりはお手柄である。
 
入口からプラハ城へと向かったが、ひたすら上り坂、階段の連続。ようやくプラハ城そのものが近づいてきたころにカフェがあった。疲れていたのでいったん休憩。
屋内の席を案内されたが、妻が「暑いからテラス席がいい」と店員に伝えると、怪訝な表情をされて改めてテラス席を案内された。「これはもしかして差別というやつかも…」と我々は声を潜めた。外は小雨。雨が降っているという理由かもしれないのに、私たちはいらぬ不満を口にしてケーキをほうばった。
 
元気をチャージした後はいざプラハ城内へ。入ってすぐ螺旋階段があった。私たちは〈少し登るくらいだろう〉と甘く考えていた。とんでもない勘違いであった。ぜぇぜぇと息を切らしつつ、なんとかてっぺんまで登った。「城はもうこりごり…」。そんなことを二人で話しつつ、げっそりとしてプラハ城を後にした。

教会での公演と体調不良


旧市街へ戻るにあたり、「歩きはしんどい」という妻。駅の場所や時間を調べなければならないので、来た道をそのまま帰りたいという私。
結局、妻の意見を尊重して駅の場所やら時間やらを私が調べる。電車に乗り、無事に旧市街へ着いた頃、私は急に身体がだるくなるのを感じた。喉の調子もおかしい。めちゃくちゃ痛い。「少し熱があるかもしれへん…」と妻に伝える。「大丈夫?」と心配する妻。
ここまで私がgoogleマップで調べて先導してきたが、「任せて!」と妻が先導してくれることになった。何度か道を間違えつつ、途中、お土産を購入し、いい時間になったので教会に向かった。予約していた席に座る。

公演が始まると確かに一番よく見える席であった。おやじが言っていたように終始二階のテラスから歌とピアノの演奏が行われた。ただ、最後の1曲はサプライズで演者が舞台に降りてきた。感動的なアヴェ・マリア。舞台から斜め前の席からでは見にくい。
〈おやじよ。全部テラスって嘘やんけ…〉プラハで出会った良いおやじ像は、フィナーレを飾るアヴェ・マリアの歌とともにガラガラと崩れ落ちていった。公演が終了して、我々はそのままホテルに向かった。

部屋に戻ると、焼けるようにのどが痛く、つばを飲み込むのもしんどい。熱もあり、身体もだるい。
『朝走る』『プラハ城の287段の階段を上る』『寝不足』『慣れない土地で常に緊張』…。あげればきりがないほど精神的・肉体的に負担をかけていた。
ほとんど風邪をひかない私は、「薬なんて現地調達で大丈夫やん」と呑気なことを言って持ってこなかった。妻はロキソニンを持っていたため、それを頂戴して床に就いた。海外旅行に常備薬は十分に持って行った方がよい。


5日目 再びウィーンへ ~Big luggage‼~


大汗をかいて目覚めた。身体はだるく、喉が猛烈に痛い。この日はプラハからウィーンに戻る予定であったため、ゆっくり過ごすこともできない。旅のプランに余裕を持つべきであった。昼頃にはプラハ駅に向けて宿を出発。

プラハからウィーンは約4時間の電車旅。今回は指定席をとれたため、安心して乗車できる。そう思っていた私だったが、乗車直後からもやもやする羽目になった。
キャリーケースの置き場が確保できなかったのだ。各車両に置ける場所があるのだが、すでにいっぱいで荷物を置くことができなかった。仕方なく他の空いているスペースに置くことに。
私が〈あそこに荷物を置いてよかっただろうか〉と心配していると、「大丈夫だよ」と妻。「うん」と空返事をする私。果たして私の不安は的中した。  

乗務員が何か叫んでいる。「Big luggage!!(でかい荷物‼)」。我々の荷物である。慌てて向かうと厳しい表情の女性乗務員がいた。
「荷物は荷物置き場においてください!」英語で指示を受けた私は、アワアワしながらも「just a moment…」と伝えて、震える手でスマホを操作し、何とか事情を伝えようとした。
すると、横から妻がサっとgoogle翻訳で「荷物置き場がいっぱいで置けません。助けてください」と伝えた。事情を承知した女性乗務員は、手際よく荷物置き場を整理してスペースを作ってくれた。「thank you very much!」と謝意を伝える。同時に〈チップはいるのか…〉と考えているうちに乗務員はきびきびと去ってしまった。
とっさの動きは妻の方が上手である。席に戻った後、妻から「あの時震えてたね(笑)」とからかわれる羽目になった。今後、旅行に行くときは小さなトランクを持っていこうと心に誓った。

ウィーンのホテルへ


ウィーン中央駅に到着。駅のフードコートで食事をとることに。妻はカレーをチョイス。私は喉が痛いので、柔らかくて食べやすそうなものを探してしばらくうろついたが、ちょうどよい食べ物は見つからなかった。結局、ホテルに戻ってから、持参したみそ汁とインスタントの白米を食べることに。ただ、電子レンジを使用することができず、みそ汁で白米をふやかして食べるしかなかった。久しぶりの日本の味は、こんな形でも美味しいと感じた。今回の旅で電子レンジが使えるホテルがほとんどなかったので、次回以降海外旅行をするときには気を付けなければならない。

旅の概要と全日程のリンク


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