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憧れの男性像、なりたかった人

今、自分が大切にしている「彼」とほぼ同時期に知った、とある作品のキャラクター。
「彼」とはまた違った意味で、大切な存在となった人。…ここでは「R」と呼ぶことにする。
そんな人について。

「R」との出会いは割と偶然というか。
そこまで期待していた訳ではなかった。
ゲームのストーリーで使わざるを得なかった、というのが正直なところ。
でも、見ているうちに、使ううちに、惹かれていった。
もちろん見た目もある。
彼は異性に人気のあるだろうルックスで。
なんなら同性からだって十分好かれるだろう。
性格だって、真面目で優しくて頼もしくて。
ちょっとひねくれているところも可愛い。
案外素直じゃない彼が好きだった。

…そんなわけで、彼について色々と調べたりして。
それこそ、二次創作なんかもチェックした。
もちろん、夢系の作品も。
そのうち、見ているうちにモヤモヤが募っていくようになった。
段々と彼に対する気持ちが変わっていくような気がしていた。

彼に「好きだ」と言ってほしいわけではない。
彼と恋仲になりたいわけでもない。
…ならば私は、彼の何になりたいのだろう?
…彼と何をしたいのだろう?
考えても答えは見つからなくて。


私が彼を好きになったのは「異性として」ではないのかもしれない。
考え過ぎて彼を嫌いになり始めた頃、そう気がついた。

彼があまりにも男の子らしくて。
どうしても私を「女の子」にしてくる。
守らなければ、と。
大切に愛したい、と。
もともと彼は、大切なものを失って強くなった人だから仕方ないところはあるけれど。
でも私は、大人しくあんたの腕に抱かれて
「大丈夫ですよ、私はここにいますから。変わらずに待っていますから。」
なんて殊勝な顔で言えるような人間じゃないんだよ、と。

嫌いになった挙げ句に逆ギレという、いちばんダメなパターン。

あの子に好きになってもらえる程、私は優しくないし、気遣いもできないし。
私ではあなたの欲を満たせはしない、と。
私のことをそんな「女の子扱い」しないでほしいんだよなって気がつくのに時間がかかってしまった。

じゃあ友人になりたかったのか、と訊かれても、どうやらそれも違うようで。
…自分はなんて面倒なヤツなんだと思いましたよ。
でも、やっぱり違うんですよね。

恋人でもなく、友人でもない…
だとしたら何になりたいのか。

結果は、「彼自身になりたい」ではないか、と。
彼の何かではなく、彼に。

私がもし男に産まれたら、彼みたいな人になりたかった。
彼のように自分と向き合い、人と向き合い。
友人や家族、仲間を大切にして。
そんな大切なものを守るために、失う覚悟をして戦う…
そんな強い彼に憧れて。
私も彼になりたかった。

…彼との距離感に悩んだ時期は、本当に彼が嫌いになるくらいだった。
彼を見ると、自分が嫌になるから。
自分を受け入れられなくなるから。
彼にも自分にも悪態をついてばかり。

でも今は彼のことを、
「もうひとつの世界の私」や、
「なりたかった私」
なのだと思っている。
友人でもなく、恋人でもなく。
親でも兄弟でもなく。
私自身だと。
もっと言えば、「私のなりたい男性像」だと。

…彼がいなかったら今の私はアイデンティティに悩まずに済んだような気もする。
彼が私に余計なことを考えさせたと思うこともあるけれど。

…とまぁ、いろんな意味で、彼もまた、
私の特別な人なのです。

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