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~化学科の世界①~2年前期編

 Hamuichiです。怒涛の期末試験ラッシュも過ぎ去り、いよいよ待望の春休みを迎えたので、北海道大学理学部化学科2年生の生活について今一度まとめておこうと思います。春から総合理系に入学しどの学科にしようか決めかねている新入生に特に一読してほしい内容となっています。(筆者は諸事情により2年間もの間化学科2年次に在籍していたので特に多くのことを語れると思います。)

Hamuichi:理学部化学科新3年生。総合理系→化学科
得意科目:物理化学、苦手科目:有機化学


1.化学科2年前期の時間割

以下の時間割が化学科2年生前期の一般的な履修科目です(2023年時点)。

2年"前期"時間割

🟩(緑):必修講義科目,🟨(黄):必修演習科目,🟦(青):選択科目
🟧(橙):理学部共通科目

2.講義科目(2年前期)

 各講義の情報について簡単に書いていきます。教科書以外に筆者が参照したおすすめの専門書についても紹介します。(講義情報は筆者が受講した年度のものとなっているため、現在の情報とは異なる可能性があります)

🟩分析化学Ⅰ(火2)

 分析化学→物質の同定方法および定量方法、ならびにそれらの元となる理論を研究する分野。
 ここでは定量分析化学の基礎を学ぶ。溶液中の化学平衡や酸塩基滴定・錯形成滴定・沈殿滴定など。大学受験化学の延長線上の感覚で取り組める。実際に手を動かして様々な問題を自分で解いてみることが大切。毎回講義の後に出席確認を兼ねた演習があるが、問題はそこまで難しくなく、講義資料を参照すればほぼ解ける。中間試験・期末試験があるが事前に何問か問題のサンプルが提示されるため、勉強がしやすい。真面目に取り組んでいれば単位を落とすことはまずない。(※情報は2023年度)

・筆者おすすめの参考書:クリスチャン分析化学Ⅰ

🟩物理化学Ⅰ(水2)

 物理化学にはⅠ~Ⅲまであるが、Ⅰでは量子化学を学ぶ。前期量子論から始まり、シュレーディンガー方程式、1次元井戸型ポテンシャル中の粒子、原子価結合法・分子軌道法、変分原理、分子分光学(振動・回転・電子スペクトル)など多岐に渡る内容を学ぶことになる。授業中に出席確認はないが、毎回の課題を提出することによって初めて出席にカウントされる。2年生の講義の中でも難易度はかなり高い部類なので、課題や試験勉強に取り組む際には量子化学を愛してやまない強力な友人を作ることをお勧めする。中間試験・期末試験は共に平均点が30後半~40前半となるほど難しいが、救済措置があるので単位取得の心配はあまりない。(※情報は2023年度)

・筆者おすすめの参考書:①マッカーリ・サイモン物理化学(上)-分子論的アプローチ- ②量子化学:基礎からのアプローチ(特にこちらは極めて分かりやすい)

🟩無機化学Ⅰ(木2)

 原子の構造からはじめ、分子の構造、原子価結合理論・分子軌道理論、無機固体の構造などを学習する。特に固体の部分はかなり学習内容がボリューミーである。必修科目演習ならびに最終授業で提示される問題集によく似た問題が期末試験でよく出題されたため、勉強がしやすい科目である。筆者は2年前期の講義の中では楽しんでいた部類であった。全学教育の化学Ⅰで学ぶ内容が再度出てくるため、1年次に理解できなかった内容があってもしっかり復習をすれば何も問題はない。(※情報は2022年度)

・筆者おすすめの参考書:ベーシックマスター 無機化学

🟨化学実験Ⅱ(春・火3&火4)

 実験、と題目にあるがその実態はプログラミング実習である。言語はRubyを用いる。春タームの3限と4限が割り当てられているが、当日の課題を早く終わらせればその分帰る時間も早まる。PCの持参が必要になるが、忘れたり用意できなかったりした場合でも別室備え付けのPCで課題に取り組めるので問題はない。少しでも疑問点があれば教室内を巡回しているTAの方に早めに質問しよう。質問すればするほど、帰るまでの時間を短縮できる。(※情報は2022年度)

🟨計算機実習(夏・火3&火4)

 化学実験Ⅱが終わって一息つこうと思った学生の前に忽然と立ちはだかる。内容はWinmostarを用いた量子化学計算を体験するというものだが、化学実験Ⅱよりやや難しい上に作業量も多い。手順が書かれたファイル通りに作業を進めていけば良いが、課題には自力で解答する必要がある。授業内課題の他にも3回の授業ごとに別途レポート課題が与えられる。最終課題はいくつかのテーマから好きなものを1つ選択してレポートを書くというものだが、これがやや難しい。友人と協力して何とか書き上げてほしい。(※情報は2022年度)

🟨化学購読(木1)

 平たく言えば化学英語の講義である。2022年度は休講になることが多く、最終レポートさえ提出すれば単位が取得できるレベルであったが、2023年度から内容が激重になりかなり大変になったという話を筆者は噂に聞く。課題の量が膨大な割に1単位しか貰えないため、何とも言えない気持ちになったと筆者の友人は語る。(※情報は2022, 2023年度)

🟦材料情報学(火1)

 筆者が受講した頃は物理学通論という題目だったが、2023年度から材料情報学に変更となった。マテリアルズインフォマティクスの基礎についての講義であり、専門というよりはむしろ教養科目を受けている感覚に近かった。中間試験・期末試験ともに難しくなく、何よりもオンライン実施なのでゆるい気持ちで受講することができた。選択科目の中で一番簡単に単位が取れるかもしれない。(※情報は2022年度)

🟦化学のための数学(木3)

 題目の通り、化学を学ぶにあたって必要な数学について学習する。微分・偏微分、積分、微分方程式、複素数、級数展開、実験誤差と最小二乗法、最適化について学ぶ。毎回の提出課題にしっかり採点結果とフィードバックが与えられるため筆者の勉強のモチベーションは高かった。成績評価も課題100%なので単位は取りやすいが、教室が2号館4階だったので昼休みに階段を上るのが少ししんどかった。(※情報は2022年度)

・筆者おすすめの参考書:マッカーリ化学数学

🟦分析化学Ⅱ(金2)

 分析化学Ⅰの姉妹科目。Ⅰは必修なのにⅡは選択である。Ⅰでは分析化学の基礎・原理について学ぶが、Ⅱでは機器分析について学ぶ。分光分析、原子スペクトル分析、電気化学分析、溶媒抽出、クロマトグラフィーについて扱われた。分析化学Ⅰ同様、毎回講義の後に出席確認を兼ねた演習があるが、問題はそこまで難しくなく、講義資料を参照すればほぼ解ける。中間試験・期末試験ともに存在するが、講義資料をよく勉強することで解ける問題が多い。万が一成績が振るわなくても救済措置があるため、単位取得の心配はない。(※情報は2022年度)

・筆者おすすめの参考書:クリスチャン分析化学Ⅱ

🟧基礎物理化学(月2)

 化学熱力学について学ぶ。全学教育の化学Ⅰでいまいち分からなかったエンタルピー・エントロピー・ギブズエネルギーについてよく理解できるようになる。課題は計算主体であり、チームプレイで行うのが良い。講義資料に掲載されている問題や毎回の課題を何も見ずに解けるようにしておけば期末試験は突破できるであろう。関数電卓を一番使う講義である。(※情報は2023年度)

・筆者おすすめの参考書:見える! 使える! 化学熱力学入門

🟧基礎有機化学(月3)

 教科書(ブルース有機化学)の第1章から第6章まで、すなわち電子構造と結合、酸と塩基、立体化学、アルカン、アルケンについて扱う。全学教育の化学Ⅱで学んだ内容と大きく重複するため、学習を進めるのに苦労はほとんどない。基本オンデマンド授業であり、対面授業への出席は任意である。講義ビデオは先々の回まで公開されるため、バンバン予習をすることも可能である。2年前期の講義の中で筆者は一番楽しんでいた(なお現在は有機化学が非常にできない)。(※情報は2022年度)

・おすすめの参考書:困った時の有機化学 第2版(上)

🟧その他理学部共通科目(月4)

 月曜4限に開講される理学部共通科目は、現代天文学、細胞生物学概論、現代地球惑星科学概論1の3種類である(※2023年度)。このうち、筆者が実際に履修した細胞生物学概論と現代地球惑星科学概論1について簡単に紹介する。

・細胞生物学概論:細胞生物学分野に関するオムニバス形式の講義である。予習課題と授業後の小テストが毎回課され、これらの採点結果をもとに評定が決まる。1年生の時にもう使わないだろうと思っていたあのキャンベル生物学が再び日の目を浴びる科目である。(※情報は2023年度)

・現代地球惑星科学概論1:地球惑星科学の研究に関するオムニバス形式の講義である。毎回の講義形式や課題は教員によってまちまちである。こちらも出席と課題の結果をもとに評定が決まる。筆者の偏見かもしれないが、この科目を選択している化学科の学生が他より少ないような気が…。(※情報は2022年度)

🟨必修科目演習(金3)

 履修時間割上は金3・金4で登録される(はず?)が、実際に講義としてあるのは金3のみである。必修科目(分析Ⅰ、物化Ⅰ、無機Ⅰなど)の演習が行われるという名目だが、その内容は科目によって様々である。問題演習をする科目もあれば、今までの講義内容の復習を行う科目もある。北大祭の前まではこの時間が化学展(後述)の準備時間に割り当てられる。(※情報は2023年度)

3.他学部履修(2年前期)

 先述の時間割で履修登録をするとほぼ上限単位数まで埋まってしまうため、残念ながら2年前期では他学部履修をすることが難しいです。どうしても他学部履修がしたい!という方は月4の理学部共通科目を外してそこに他学部の科目を入れるという履修計画になるでしょう(その分後期で理学部共通科目を取る必要がありますが…)。筆者は2年前期では他学部履修をしませんでした。(※情報は2023年度)

4.主要なイベント(2年前期)

 化学科の2年前期には、①化学展の主催、②野球大会というイベントがあります。

①化学展の主催

 北大祭では、理学部において化学にまつわる展示を行うコーナーが存在し、その主催を行うのが化学科の2年生です。学生はA~Eまでの5班に分かれ、それぞれの班が異なる展示・演示実験を行います。金曜3限の必修科目演習の時間を使って準備を進めていきます。筆者は班のリーダーを経験し、色々と忙しい時もありましたが、化学展が無事終わった時の充実感はひとしおでした。(※情報は2023年度)

②野球大会

 毎年6月下旬、化学科では野球大会が開催されます。各研究室がそれぞれチームを組んで戦いますが、2年、3年からも2チームずつエントリーすることができます。筆者はイベントや集まりが好きなのでもちろん参加しました。野球大会に向けて授業後チームで練習などを頑張ったのですが、残念ながらトーナメントを勝ち進むことはできませんでした。しかし、楽しい思い出になったのと同時に、野球大会後の親睦会で多くの化学科関係者の方と交流することができたのでよい時間を過ごせたなと思いました。(※情報は2023年度)

5.おわりに

 北大理学部化学科は3K(北大で最も忙しいとされる学科の総称)の一角などと呼ばれていますが、カリキュラムの改定により以前ほど忙しくはなくなりました。もちろん試験前など辛いこともありましたが、それ以上に充実した生活が待っています。これから先2年後期編などの執筆に取り掛かりますが、一連の記事を読むことで化学科に対する解像度が少しでも高まるようでしたら幸いです。続編でまた会えることを楽しみにしています。


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