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挫折と初恋

挫折


さていよいよ小学校へ入学した私です。

前回までをご覧になっていない方は是非ご一読下さい。

小学校の入学式。それは私にとって何の価値もありませんでした。
むしろ価値があったのはその後。初めて皆が教室に集ったHRの時間でした。
50音順に割り振られた席順で教室に集められた新1年生達。
比較的若い位置に割り振られた私は、教室を一瞥しこう思いました。
「全員、敵じゃねーな」

と。


い、痛い。
30数年経っても未だにこの瞬間のことは鮮明に覚えていますが、何という勘違いをしていたのか・・・
幼稚園時代から続いていたガキ大将気分が続いていたんですね。どれほど自惚れていたのやら。
でも本当にこの頃は何の根拠も無しに、クラスメートの誰に対しても優越感を感じていたんですよね。

全ては数日のうちに覆されます。

算数の授業を行えばA君にボロ負けし
体育の授業を行えばS君にボロ負けし
容姿の優劣を競えばI君にボロ負けし
それでも唯一、サッカーの技術にのみ頼って小学校低学年代をやり過ごしました。そうサッカーだけさ。

とかく狭いコミュニティでガキ大将を気取っていた私は、この時初めて「同年代に負ける」という挫折を味わったのでした
これは当時かなりショッキングな出来事でした。
サッカーに限れば!6年生に混じっても遜色無く活躍出来ていた私だったのですが、それ以外に関してはまるでダメ!え!何コレ!?状態。

そもそもが「全員、敵じゃねーな」マインドだった私にとってこれはかなりしんどい状況でした。
しかしそれでも何とか当時流行っていた「銀狼怪奇ファイル」のモノマネ(なめてんじゃねーよってやつ)で尊厳を保っていた私は、画期的な解決法を思い付きます。


人気者に取り入って、自分の尊厳を保とう!


もちろんこの頃はこんなにも明確で打算的な思考はありませんでしたが、何となくこういったニュアンスのことを考えていたのは覚えています。

その日から私の親友はクラス一のイケメンのI君になり、また時にはクラス一の秀才のA君になり、そしてまたある時にはクラスで最も足の速いS君になりました。今までの友達?知らん。のぼり棒でも登ってんじゃね?

最低だなぁ

やばい、罪悪感と劣等感と何か色々言い表せない感情が溢れてきました。
ということでしばらく最低の学校生活を送っていた私は、ある日夢を見ます。

初恋



普通に、睡眠時に見る方の夢です。
クラスにはEちゃんという女の子が居ました。女子の中では高身長なのと栗色の髪の毛が長いのが特徴で、ポニーテールがトレードマークの女の子でした。

その夢の中で、何故かは分からないけれど、私は学校の敷地でEちゃんと二人でかくれんぼをして遊んでいました。仲良くもなかったのにね。
私が鬼になってEちゃんを探していると、ふと校舎脇に佇むEちゃんを発見。
「見つけた」と言いかける私に正対し、真っすぐ視線をよこす。
後ろ手を組んだEちゃんが口を開く。

「私のこと好きなの?」

その言葉を聞いた私は非常に困惑し、目を覚ましました。
高まる胸の鼓動。全身が熱に侵され、じんわりと汗をかいていた。Eちゃんの言葉が耳の奥に繰り返され続ける。刺激的で心地よいリフレイン。

初恋。7歳の秋でした。



いや、なんでだよっ!?って感じですよね。自分でも本当に分かりません。
夢に出てきたってことはそもそもが何かしらの感情を抱いていたのかもとは思いますが、夢に出てきたから好きになっちゃうって。しかも初恋がかよ。

せめて初恋くらいは、現実の中で、甘酸っぱい体験と共に成立させたかった。

でもね、大人になって色々な情報(主にネットの中)に触れる内に、意外とそんな経験をしている人って居るみたいですね。救われた気分でした。

まぁともあれ初恋を芽生えさせた私は、その日からEちゃんを意識しまくる生活が始まりました。
周りの女子より頭一つ抜けた栗毛のポニーテールは、それを見つめる私にとって異様に蠱惑的に揺らめき、
彼女の発する言葉は神秘的な何かが宿っているのか、私の耳の全神経を挑発し撫ぜてゆきました。

しかし体は大きくとも肝っ玉は小さい私は、結局Eちゃんには何のアプローチを仕掛けることも出来ないままで、あの日見た夢の続きを思い描くのみの日々が過ぎていきました。

そして、、、


3年後。私は次の恋を見付けました。
おい!何も無いんかい!?とお思いの方もいらっしゃることでしょうね。そう、何も無かったんです。現実ってそんなもんよね。

ということでつらつらと中身の薄い人生を歩み続けて小学校時代。
次回は何の話をしようかな。またお会いしましょう。

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