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美少女ゲーム解説③[フローラルフローラブ](mono)

はじめに

皆さんが初めてプレイしたエロゲってなんですかね?
おそらく最初から陵辱とかNTRとか、レベルの高い作品は選ばず、とりあえず無難なやつから買っていくと思うんですよ。
では、「無難なやつ」ってどんな作品なんでしょうか。
私の個人的な意見としては、「SAGAPlANETS」や「ゆずソフト」、泣き要素を少し含めるなら「Circus(サーカス)」、他にも「まどそふと」など王道純愛路線がそれにあたると思います。
私の初エロゲも例に漏れず、そのような感じで「SAGAPLANETS(以下サガプラ)」の
「花咲ワークスプリング」という作品でした。
しかし!他の四面図の人たちにはなぜか不評でした。
…なぜでしょうか?

花咲談話[美少女ゲーム評論](mono&ふやーく)

では、その次の作品はどんな感じなのでしょうか。「SAGAPlANETS」と言えば、真っ先に出でくるのは金色ラブリッチェだと思います。しかし、その前の隠れた名作こそがこの「フローラルフローラブ」なのです。

ーーあの日、俺は天使を見た。ーー

天使(セラフィーン)のような彼女たちと恋人になれたら、きっと天国(バライソ)のような毎日が待っている!
もっとも彼、斉須柾鷹は、天国など自分には縁がないと思いこんでいた。
だが天使の一人から、完全にロックオンされてしまう。
(一部省略)
……ん?
気づけば、全員と関わりを持ってないか?
だが、それも宿命だったのかもしれない。
彼にはささやかな秘密があったのだ。
目を凝らせば、天使の翼が見える。
その心が善なる時は、天使が、悪なる時は悪魔の羽が見えてしまう。
それは幼き日ーー
初めて天使を見た時から、始まっていた。

「フローラルフローラブ」story

こんな書き出しから始まる今作。恐らく、この作品をプレイしてない人は第一印象は「は?」でしょう。まさに「コイツは何を言っているんだ」と思った人が多いと思います。
「セラフィーン」とか「パライソ」(恐らくスペイン語?)とか小難しい単語を多く用いており、それが難解さに拍車をかけてる感があります。

変わりダネの今作

「SAGAPlANETS」と言えば、普通の学園モノに魔法や、超常現象などのスパイスを入れて物語を構成することが多く、例に漏れずこの作品もその路線を踏襲しています。
しかし、今作はスパイスがスパイスらしくなく、個性が爆発して独特な世界観を作り上げています。
というのも、今作のコンセプトは「キリスト教」で主人公たちの通う学園もミッション(修道)系なんですね。だから、上記の「セラフィーン」とか「バライソ」のような単語がバンバン出てくるのです。
かと言って、キリスト教の知識が無ければ楽しめないかと言われると、そうでなく、しっかりと咀嚼出来る範囲で落とし込んでいます。

本編紹介

斉須柾鷹

成績優秀、スポーツ万能、誰もが羨む高スペ男子が今作の主人公です。
この手のゲームで主人公がメガネって珍しいですよね(そんなことない…?)
それもそのはず、実は、主人公がメガネをかけるのには理由があるのです。
主人公は、「羽」を他者の背中から見れる特殊能力を持っています。この羽の色は「白」か「黒」で分かれており、白ならば「善」「良感情」、黒ならば「悪」「悪感情」が心を支配しています。
まあ、簡単に言えば、超高性能嘘発見器みたいな能力です。
この能力は裸眼を通してではないと発現せず、メガネを通してだと効果は発揮しないのです。だから、メガネをかけているのですね。
性格は、非常に内向的で、暗く、いつもマイナス思考なことばかり考えています。(良く言えば、詩的)
かと言って、陰湿だったり、意地悪ではなく、人並みに正義心はあり、他人との関係もソツなくこなします。
実際、学園の不祥事については彼が自らの能力を使って解決することが多く、さまざまな人に頼られています。(主人公自身、それを認めなくないらしいが)
このように彼が屈折してしまった理由は、彼の厳しい家庭環境にあり、少年時代は不運の連続であったようです。

美鳩夏乃

柾鷹の幼馴染ポジである、夏乃。
勉学は得意ではないものの、非常に社交的で、明るく、さっぱりとした性格をしています。そのためか、男女問わず、彼女を慕う者が多く、主人公とは対照的なキャラとして描かれています。
美鳩家は、主人公たちの住む街では知らない者がいないほどの大地主で、夏乃はそれの一人娘です。そのためか、素性の知れない主人公を疎ましく思う美鳩家の人間は多く(夏乃自身は全く気にしてないが)、彼女の個別ルートでは様々な妨害に遭遇します。
他ルートでも、ぐだぐだ悩む主人公の背中を押してあげたりと、主人公の幸せを第一に考えており、とても好ましいキャラクターとして描かれていますね。
主人公も「夏乃の背中からは鬱陶しいほどの純白の羽がチラチラと見える」と漏らしており、メガネ越しからも彼女の性格が伺い知ることができます。

朱鷲坂七緒

夏乃の親友である、七緒。
高身長、黒髪、少し釣りあがった目尻、高嶺の花の雰囲気を醸し出すクールキャラです。
主人公と似て、内向的、無口で夏乃たちにも「似た者同士」という評価を得ています。
ただし、主人公と違って、将来はパテシエになってお菓子作りで子供達を笑顔にさせるという女の子らしい夢を持っており、逆に夢を持たない主人公にヤキモキします。
家庭環境がなかなか複雑で、母親は毒親、父親は失踪?死亡?(覚えてない)したために新しい男を作って、七緒は居心地の悪さを感じています。
また、母親は彼女のパテシエの夢も否定しており、将来の自分に悩みを抱える場面があって、心が痛くなります。
個別ルートでは、主人公が協力して、そんな家庭の不仲を取り持ち、七緒の夢を応援しています。

アーデルハイト・フォン・ベルクシュトラーセ

主人公の学園に突如転校してきた、外国のお姫様。アーデルハイト。
ベルクシュトラーセ公国というドイツ系の王国から来日してきたらしく、日本人とその国のハーフです。
性格は、非常に怠惰で、出不精。休日のみならず、授業中、平日のほとんども睡眠に使い、担任の先生を困らせていますが、興味を持ったことにはとことんと追求し、主人公のことを「ニンジャ」と呼んで追いかけ回すシーンなどもあります。
ベルクシュトラーセ公国は、現在、政争にあるらしく、王位継承権が低いアーデルハイトは厄介払いのために日本に飛ばされたらしく、彼女自身はそこまで気にしていませんでしたが、個別ルートで政争の諍いに巻き込まれ、主人公と共にその苦難を突破するといった場面もあり、見どころです。

椿姫こはね

主人公の良き理解者であり、協力者。こはね。
敬虔なキリスト教徒で毎日のように、教会に行って祈りを捧げています。
「〜の極みです」が口癖で、口調がとても個性的で、性格は優しく、柔和で、それでいて厳しい部分もあり「魚の釣り方を教える」のを体現した人物です。
夏乃と負けず劣らず、主人公のことを大切に思っており、主人公が挫折した時には、そっと救いの手を差し伸べるため、主人公は彼女には頭が上がらず、普段の粗野な言動もこはねの前では、無効化されてしまいます。
また、主人公と似て、過去には悲惨な出来事があったようで、他人の幸せを望みつつも自分の幸せを望むことが出来なくなっており、個別ルートではそんな彼女の心を主人公が優しく溶かし、彼女の救済に邁進していきます。

斉須莉玖

主人公の妹という体で、斉須家に居候する少女。
性格は粗野で、命令口調で人と接することが多いです。
彼女は、この話におけるキーパーソンとなっており、trueendでは、なぜ主人公がこんな能力を得たのか、主人公の過去に何があったのかなどが事細かに説明され、一種の感動的要素を作り上げています。

最後に

あまり目立たない今作ですが、シナリオライターが前作と違って硬派な人物を起用したからか「花咲」と対象的な作品になっています。評価的には「花咲」の方が好きという声も多く、「凡作」と総評されていますが、噛めば噛むほど味が出て、シナリオ構成の完成度は今作が随一なのではないかと思います。
中古だと2000円くらいで購入出来るので、変わりダネの設定を楽しみたい人にオススメです。
最近だと、switch版も発売されたので、18歳未満の方はそちらもチェックしてはいかがでしょうか。

フローラルフローラブ公式ホームページ

フローラルフローラブamazon

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