何事もない毎日に満たされる

私が幼稚園のころは、「なんで金髪じゃないの?」自分の顔を見て不思議だった。アメリカ人に生まれるべきだったと思っていたのは、きっと海外ドラマの影響だね。

そして、小中時代にはアイドル全盛期で、そのうちバブル経済(その最中にはバブルとは呼んでいなかった、バブルは弾けて初めてバブルと言われた)で世の中が景気がよく、DGブランドも流行り、もっときらきらしている都会に行きたかった。

大学は県外に行けて、シメシメ。ただ、関東平野は広く、身近に山がないのが物足りなく、卒業後もここで暮らしたいとは思わなかった。

いっそもっときらきらした海外のほうがいいかも、と思って香港に行き、気づけば29年も国際的な都会を良い時期に満喫した。でも、都会ってお金がないと心置きなく楽しめない場所だと思う。

香港では、2019年若者が中心となって香港中を巻き込んだ抗議デモが起こり、2020年コロナの最中に国家安全法ができ、自由がもどとられて、その上コロナ規制でモノクロの世界に。

いつかは青森に帰ろうと思っていたし、次女も夫も日本に住みたいと言うので、良い区切りかなと帰国。

青森の生活に特別前向きでも後ろ向きでもなく、自然にここに辿り着いたという気持ちで帰ってきたけど、今のところ思いのほか心地よく、いい感じだ。
ありきたりだけど、青森の自然、つまり青森の空気、風景、水や食べ物、そこからじわじわ満たされる。自然ってすごいんだ。

10代の時は、圧倒的な自然が嫌だった。この自然に比べると人はちっぽけで、もっと人が多い都会に行って人に紛れたかった。そして、何にもドラマチックなことが起こらない平凡で代わり映えしない日々に、イラついてた。

だけど、今はどうだろう。1日の終わりに戸締りの前に、外に出て空を見て深呼吸する。もちろん誰も歩いていない。天気がいい時には、住宅地でも9時過ぎには真っ暗なので、たくさんの星が見える。銀河鉄道の夜かってぐらい。そして、何事もなかった1日に安堵し、幸せを感じる。

今日も何事もなく、平穏に過ごせますように。

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