素直な気持ち

あの日

シロちゃんに
初めて連れて来られたのが

このおうちだった

多分…

おうちの中に
猫がいる

そう思ったのは

そこんちのおばちゃんが
美味しそうなご飯を
あたしたちに
出してくれたから

あたしは

いろいろあって

人間は嫌いだけれど

ご飯付きなのと

ここんちの庭が
気に入ったから

毎日ここに通ってた

そしたら

いつの間にか

ここんちの人が
過ごしやすい庭にしてくれて

あたしの家が出来ていた

雨風凌げるし

あたしはここに
住むことにした

おばさんは
優しかったし
名前もつけてくれたけど

あたしは人間が嫌いだからね

懐くことはしなかった

次から次へと猫が来て

みんな
おばさんに懐いてたけど

あたしは懐かなかったよ

でもね

いつの頃からか

仲間たちが病気なんかで
お空に旅立っていき

あたしひとりになった時に

ちょっと寂しくなって

おばさんに
寄り添ってみたんだ

おばさん泣きながら
嬉しそうにしてくれたよね

あたしだって

甘えることくらいできるのよ

3年以上かかったけれど

改めてよろしくね

おばさん…

ううん

おかあさん。